AIの著作権で迷わない、先生のための判断基準(先生のためのAIラジオ #04)

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「AIで作ったイラストを授業プリントに入れて配っていいのか」「教科書をNotebookLMに読み込ませて大丈夫なのか」。教員研修で必ずと言っていいほど出てくるのが、生成AIと著作権をめぐる質問です。

ポッドキャスト「先生のためのAIラジオ」第4回では、現場でよく出るこうした場面を一問一答で整理しながら、答えを支える判断基準を掘り下げました。

目次

守るのは「表現」、「アイデア」はフリー

著作権が守っているのは、創作的な「表現」です。具体的なキャラクターのデザイン、特定のストーリー、個性が出た文章やイラストがこれにあたります。

一方で、「アイデア」は守られません。「ジブリっぽい雰囲気」「ディズニーっぽい感じ」というスタイル自体には、著作権がないのです。

つまり、AIに「ジブリ風で描いて」と頼むのは原則セーフ。ところが「トトロを描いて」となるとアウトになります。前者はスタイル(アイデア)の指定ですが、後者は具体的なキャラクター(表現)を再現させる指示になるからです。アウトとセーフの分かれ目は、ここに引かれています。

著作権侵害は「類似性」と「依拠性」の2条件で成立する

著作権侵害が成立するには、2つの条件が揃う必要があります。1つ目が類似性、すなわち既存の著作物の表現とそっくりであること。2つ目が依拠性、つまり元の著作物を認識して、それをもとに作ったということです。

たとえば「トトロを描いて」とプロンプトに書いた場合、出てきた絵はトトロに似ています(類似性)。さらに、自分で「トトロを描いて」と入力している以上、トトロを知らなかったとは言えません(依拠性)。両方が揃うので、著作権侵害になるわけです。

逆に、片方が欠けていれば成立しません。「類似していること」と「元を認識して作ったこと」の両方を意識すれば、判断は格段にシンプルになります。

「AIの著作権ガードレール」はあてにできない

「著作権アウトな指示は、AIが勝手に断ってくれるのでは?」と思いたくなるかもしれません。AI事業者は、著作権侵害になりそうな出力をブロックする「ガードレール」と呼ばれるフィルタリング機能を設けています。

ところが、これは万能ではありません。番組内で実際にChatGPTに「ミッキーマウスを描いて」と入力すると拒否される一方で、「トトロを描いて」と入力するとそのまま生成されてしまいました。アメリカで訴訟リスクが高いキャラクターほど厳しく、それ以外は通り抜けてしまう傾向があるのです。

AIに頼り切るのではなく、先生自身が判断基準を持っておくこと。類似性と依拠性で考えれば、AIの挙動に振り回されずに判断できます。

第35条の盾は、授業の中だけ

「学校で使うから著作権は大丈夫」と思い込んでいないでしょうか。著作権の例外が効くのは「学校だから」ではなく、「著作権法第35条の条件を満たすから」です。

第35条が適用される条件は3つあります。①非営利の教育機関で、②授業の過程として、③必要な限度で使うこと。この3つを満たせば、AI生成イラストを授業プリントに入れても、教科書の文章をAIにリライトさせて使っても、原則OKです。

ところが、保護者会、職員会議、学校公式SNSになると話が変わります。これらは「授業」に該当しないため、第35条の盾が外れ、純粋な著作権の問題に戻ります。授業で配ったプリントをそのまま学校ウェブサイトに上げてはいけない、という線引きはここから生まれるわけです。

授業の中なら例外で守られる。授業の外では原則どおりに判断する。この区別を意識しておくだけで、トラブルの大半は避けられます。

「これは大丈夫?」現場の質問への答えは番組で

番組の後半では、こうした判断基準をもとに、現場でよく聞かれる7つの場面を一問一答で整理しました。

  • 教科書をNotebookLMに読み込ませてもいい?
  • AIで作ったイラストを授業プリントで配っていい?
  • 教科書の文章をAIにリライトさせていい?
  • 教科書の文章で穴埋め問題を作らせていい?
  • AIが作った教材の著作権は誰のもの?
  • 学校の公式SNSにAI生成画像を上げて平気?
  • 授業で使った素材を保護者会や職員会議でそのまま使っていい?

どれも一度は迷ったことのある場面ではないでしょうか。答えとその理由は、番組でじっくりお話ししています。

「知らないから心配」を「知っているから使える」へ

著作権を「知らない」と、AIは扱いにくいものに見えます。けれども、表現とアイデアの違い、類似性と依拠性、第35条の範囲という3つの軸を持てば、現場のほとんどの場面は判断できるようになります。

判断基準を持つことは、AIから距離を取るためではなく、安心して活用するためのものです。「著作権が心配だから使わない」ではなく、「著作権を知っているから使える」へ。先生方一人ひとりの判断基準が、その分岐点になります。

番組を聴く

「先生のためのAIラジオ」#04 はこちらからお聴きいただけます。

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著者

AI教育コンサルタント / 株式会社FlipSilverlining 代表取締役 / 守谷市生成AI活用推進プロジェクトアドバイザー
自治体のAI教育アドバイザーや私立中高の教育コンサルとして学校現場に入りながら、AI時代の教育について書いています。著書3冊(明治図書)、教員研修・講演120回以上、授業視察1,000回以上。

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