Weekly教育ニュース(2026年4月6日〜12日)

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4月7日、紙に限定されていた教科書の形態にデジタルも加える学校教育法改正案が閣議決定されました。全ての教科書がデジタルに置き換わるわけではなく、学校や教育委員会が3形態から選択する仕組みです。同日には2026年度本予算も参院で可決・成立し、前号で報じた暫定予算の期間中に教育施策の財源が確定しています。辺野古沖の船転覆事故を受けた校外活動の安全確保通知、学校統廃合の手引の10年ぶり改訂など、教育制度の見直しが複数動いた一週間でした。

目次

デジタル教科書を正規の「教科書」に 改正法案を閣議決定

政府は4月7日、「学校教育法等の一部を改正する法律案」を閣議決定しました。紙しか認められていなかった教科書の形態を拡張し、デジタルやハイブリッド(紙とデジタルの組み合わせ)も正規の「教科書」として認める内容です。2027年4月の施行を目指しており、次期学習指導要領に対応する最初の小学校教科書の検定(2028年度)を経て、2030年度から教育現場に届く見通しです。これに伴い、現行の「教科用図書代替教材」制度は廃止され、教科書無償措置法も改正されてデジタル形態を含む教科書が無償配布の対象になります。

「全ての教科書がデジタルに置き換わる」と受け取られがちですが、そうではありません。学校や教育委員会が「紙のみ」「デジタルのみ」「紙とデジタルのハイブリッド」の3形態から選択する制度設計です。松本洋平文科相も「紙の教科書を一律に全てデジタルな形式の教科書に切り替えていくという考えはもっていない」と明言しています。デジタル教科書をメインに据える法改正ではなく、選択肢を広げる法改正です。

この法改正の本質は、これまで副教材でしか実現できなかったデジタルコンテンツが教科書の枠内で可能になることです。現在、紙の教科書に掲載された二次元コードの先にある動画や音声は「教材」扱いで検定の対象外でした。法改正後は、学習指導要領に基づく教育内容が記載されたデジタルコンテンツが「教科書の一部」として認められ、検定を通じた質の担保と無償配布が実現します。特性やハンディキャップを持つ子どもたちへのアクセシビリティが制度的に保障される点も見逃せません。

4月10日には「デジタルな形態を含む教科書の発行・採択等の指針に関する検討会議」の初会合が開かれました。初会合で注目したのは、柴田博仁委員(群馬大学大学院情報学研究科教授)の指摘です。「デジタルコンテンツを使った学びでは、しばしばその機能の意味のない振り回しによって思考が妨げられてしまったり、タブレットを見ながら話し合うと相手の顔に視線を向けにくかったりといったことが起きる」と述べました。

これはデジタル教科書に限った話ではありません。1人1台端末を使ったグループワークで画面ばかり見て対話が浅くなり、コミュニケーションが停滞するという、デジタルツール全般に共通するセオリーです。しかし、このことを意識せず知らずにいる現場は少なくありません。デジタル教科書の導入は、こうしたデジタルの使い方に関する方法やノウハウを教育現場に求めることになります。私自身、研修や伴走支援の中でこの知見を普及させていきたいと考えています。

2026年度本予算が参院で可決・成立

前号でお伝えした11年ぶりの暫定予算は、11日間で役目を終えました。4月7日に2026年度本予算が参院本会議で可決・成立したためです。衆院通過(3月13日)から30日の自然成立期限を前に、参院での可決という形で決着しました。

文科省関係では教育無償化関連に約7,800億円が計上され、前号で扱った高校授業料の無償化拡充、小学校給食費の負担軽減、中学校35人学級の定数改善といった新制度の財源が確定しています。一般会計の総額は5兆8,809億円で、前年度比6.7%増。増額幅・伸び率ともに過去最大を記録しました。

校外活動の安全確保通知 文科省が全国の学校に発出

文科省は4月7日、全国の学校に校外活動の安全確保の徹底を求める通知を発出しました。3月16日に沖縄県辺野古沖で発生した船転覆事故を受けたものです。同志社国際高校の研修旅行中に、生徒と船長の2名が亡くなりました。

通知では、修学旅行等の計画・実施にあたって、業者に依存せず学校が主体的に安全を確保すること、実地調査や打ち合わせで安全を事前に確認すること、十分な人数の教職員を配置することを要請しています。船舶を利用する場合は海上運送法の許認可を取得した事業者を選定すべきことも明記されました。

学校統廃合の手引を10年ぶり改訂へ

文科省は2015年策定の学校統廃合の手引を10年ぶりに改訂します。3月26日に有識者会議が「議論のまとめ」を公表しました。

改訂の背景にあるのは、少子化の加速です。小学校と中学校がそれぞれ1校ずつしかない「1小1中」の自治体の割合が16.1%に達しており、単独での統廃合が難しくなっています。改訂では3つの柱が示されました。周辺自治体を巻き込んだ「広域化」、首長部局も含めた自治体全体で地域の未来を考える「総合化」、デジタル化を踏まえた「現代化」です。

具体策は多岐にわたります。交通面では、一般の公共交通機関と連携したスクールバスの運営。組織面では、複数自治体による組合立学校や広域連合の活用、複数校を1人の校長が管理する統括校長制度の導入。施設面では、通学負担を考慮した低学年向け分校の柔軟な配置が盛り込まれています。京都府の3町村が連合教育委員会を発足させて学校運営を分担している先進事例も参照されています。

【情報源】

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著者

AI教育コンサルタント / 株式会社FlipSilverlining 代表取締役 / 守谷市生成AI活用推進プロジェクトアドバイザー
自治体のAI教育アドバイザーや私立中高の教育コンサルとして学校現場に入りながら、AI時代の教育について書いています。著書3冊(明治図書)、教員研修・講演120回以上、授業視察1,000回以上。

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