Weekly教育ニュース(2026年4月13日〜19日)

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次期学習指導要領の制度設計が複数の場で同時に進む一週間でした。中教審の理科ワーキンググループが4月13日、算数・数学ワーキンググループが4月17日にそれぞれ骨子案を提示。教科用図書検定調査審議会は4月14日にデジタル教科書の検定見直し議論に着手。各教科WGには「社会とのつながり」を軸にした共通の方向性が見えてきます。そして、文部科学省は2026年度全国学力・学習状況調査(4月23日実施)の参加率97.5%を公表しました。

目次

デジタル教科書、検定見直し議論に着手 文科相は視察で「学び深める手段」と強調

4月14日、教科用図書検定調査審議会の総会と総括部会が合同で会合を開き、デジタル教科書を含む新制度の検定の在り方について議論を始めました。先週お伝えした4月10日の「発行・採択等の指針に関する検討会議」は「どう使うか」を議論する場でしたが、今回の審議会は「何を教科書として認めるか」を議論する別の審議会です。同じデジタル教科書をめぐる議論でも、制度設計の異なる層が同時並行で動いています。

検討の柱は3つ。紙では扱えなかったデジタル要素を新制度の教科書にどこまで組み込むか、動画・音声も含めて何を「教科書」として成立させるか、紙とデジタルを組み合わせた教科書をどう設計するかです。これに加えて、動画や音声コンテンツの審査方法、アクセシビリティ機能と内容の分離、外国語音声における多様な話者の扱い、歴史分野での推定表現の許容範囲、といった教科特有の論点も提示されました。

4月17日には松本洋平文科相が茨城県つくば市のみどりの学園義務教育学校を視察し、「デジタル技術の導入そのものが目的ではなく、あくまで教育の質を高めるための『手段』」「現場の教員がいかに活用ノウハウを共有し、授業の質を底上げしていけるかが今後のカギ」と発言しました。

指針検討会議、検定調査審議会、文科相発言、さらに後述する各教科WGまで含めて、今週は「デジタルツールは手段であり、子どもの学びこそが目的」というメッセージが、異なる立場から繰り返し発せられた週でした。検定の論点整理は秋までに行われます。

「数学ガイダンス」を中高で新設 各教科WGが社会とのつながりを軸に骨子案

中教審教育課程部会の算数・数学ワーキンググループは4月17日に第9回会合を開き、次期学習指導要領改訂に向けた骨子案を示しました。核になるのは、高校の数学I(必履修)と中学校の数学に新たに設ける「数学ガイダンス(仮称)」です。数学の全体像、数学と社会・仕事との関係、学びのつながり(数の広がり、微分・積分の素地)を扱うことが想定されています。

配布された議論用たたき台には具体的な扱い方の例も示されました。例えば「数学と社会・仕事との関係」では、データサイエンス分野での推定・検定・回帰、銀行員や証券業務での統計と信用リスクの数値化、農業での品質管理統計、大工での三角比など、職業別に使われる数学が整理されています。高校数学Iに新設される「社会を読み解く数学(仮称)」では、数列と漸化式を使ったローン金利の計算、AIやデータサイエンスで使われるベクトルの基礎、ガチャ購入の期待値計算といった、生徒にとって身近な場面が題材として並びました。

これに先立つ4月13日には、理科ワーキンググループ第8回会合で小学校に新たな領域「理科と日常生活(仮称)」を6学年で設ける骨子案が示されています。エネルギー問題や環境問題のように特定分野に限定できない社会課題が増えていることが背景で、中学校でも同様の領域が設置される予定です。

算数・数学と理科、異なる教科のWGで同じタイミングに示された骨子案が、いずれも「教科と社会・実生活のつながりを明示する領域を新設する」方向性を示しているのは注目に値します。これは単なる科目再編ではなく、AI時代に生徒が身につけるべき素養の再定義が始まっている、と読み解けます。特に算数・数学WGで「AI技術や数理科学、データサイエンスの理論的・技術的基礎となる行列、微分・積分、確率、統計を重視」が明示された点は、現場でのAI教育の議論とも直接つながります。

私は大学(理学部)で数学を学んだ経験から、今回の骨子案を好意的に受け止めています。数学は理論的で体系の美しさがある一方、その敷居の高さから「何の役に立つの?」と問われがちな学問です。数学的なものの見方が多様な課題解決のフレームになることを、中高の必履修科目で丁寧に伝える取り組みには大きな意義があります。

一方で、現場の視点からは「増やすばかりで大丈夫か」という懸念も残ります。「数学ガイダンス」と「社会を読み解く数学」が新設される一方、何が整理されるのかは骨子案だけでは見えません。算数・数学WGでは高校の選択科目 数学A・B・Cを1科目に統合する案が示されており、構造化の方向性は確かに出ています。ただ、「統合」や「再構成」は「削減」と同じではありません。各教科WGの取りまとめに向けて、現場が具体的に何を減らせるのかの議論が待たれます。

2026年度全国学力テスト 参加率97.5% CBT化が拡大

文科省は4月16日、2026年度全国学力・学習状況調査の参加状況(4月8日時点)を公表しました。参加校は国公私立学校2万7,867校で、調査対象総数2万8,579校に対し参加率は97.5%。小学校99.3%、中学校94.2%です。対象児童生徒数は小学6年生が約100万4,000人、中学3年生が約98万人に上ります。

実施方式は複合型です。国語と算数・数学は従来通りPBT(筆記方式)で4月23日に一斉実施する一方、小学校の児童質問調査、中学校の英語と生徒質問調査はCBT(オンライン方式)で実施されます。特に中学校の英語CBTは4月20日から5月29日までの約6週間にわたり順次実施される点に注目が必要です。

先々週の記事でお伝えしたように、文科省の2025年度「学校のネットワーク状況に関する調査」では「必要なネットワーク速度」を確保した公立学校は63.9%にとどまっていました。英語CBTを全国一斉ではなく6週間に分散して実施する背景には、学校間のインフラ・端末の制約が反映されていると読むのが自然でしょう。

不登校の出席扱い・成績評価でリーフレット 文科省が通知

文科省は4月、不登校児童・生徒の学校外での学びを積極的に評価するよう促すリーフレットを作成し、教育委員会に通知しました。学校・教育委員会向けと保護者向けの2種類で、民間施設での活動を出席扱いとした事例や、学校からの授業配信を成績評価した事例が紹介されています。適用は義務教育段階に限らず高等学校も対象です。自宅でのICT学習を出席扱いとするには、保護者と学校の連携に加えて、訪問などによる定期的・継続的な対面指導が必要である点も改めて示されました。リーフレットは制度の目的が「社会的な自立を目指すこと」にあり、「不登校が長期にわたることを助長しないように留意する必要がある」とも明記しています。

【情報源】

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著者

AI教育コンサルタント / 株式会社FlipSilverlining 代表取締役 / 守谷市生成AI活用推進プロジェクトアドバイザー
自治体のAI教育アドバイザーや私立中高の教育コンサルとして学校現場に入りながら、AI時代の教育について書いています。著書3冊(明治図書)、教員研修・講演120回以上、授業視察1,000回以上。

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