AIリテラシー授業の作り方、座学5つのポイントと実習の型(先生のためのAIラジオ #11)

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生徒にAIを使わせる前に、一度きちんとリテラシーの授業をしておきたい。

そう思って組み立て始めると、意外に手が止まります。何を教えればいいのか、座学だけで本当に伝わるのか。ポッドキャスト「先生のためのAIラジオ」第11回では、中学高校向けのAIリテラシー授業の作り方を、座学と実習の2部構成で掘り下げました。

目次

座学で伝えることは、5つに絞れる

番組で整理した座学のポイントは5つです。生成AIの仕組み、ハルシネーションとファクトチェック、プロンプトのコツ、著作権とセキュリティ、そして「まず自分で考えるの原則」。

出発点は、生成AIが「入力した文章の続きを予測するマシン」だと腹落ちさせることです。ここが伝わると、なぜAIは嘘をつくのか、なぜ質問の仕方で答えが変わるのか、なぜ著作権への注意が必要なのか、すべてが一本の線でつながります。

現場の実感も語られました。リテラシー授業を重ねてきたあきお先生によると、生徒はAIがハルシネーションを起こすことに逆に驚くそうです。意外なほど、みんなAIの回答を信じている。だからこそ、AIは神様ではなく、インターネットと同じ距離感で付き合う相手だと伝えることが大切になります。

セキュリティでは、オプトアウト設定(入力内容をAIの学習に使わせない設定)が要になります。プライベートのアカウントでChatGPTを使っている生徒は多いのに、設定を知らない生徒が圧倒的多数。「え、知りませんでした」が子どもたちのリアルです。

AIから先に使うと、何が起きるか

5つ目に挙げた「まず自分で考えるの原則」には、根拠となる研究があります。

MITメディアラボの実験では、エッセイ課題を出し、最初からAIを使うグループと自分の頭だけで考えるグループに分けて、脳波を測定しました。途中で条件を入れ替えると、何が起きたか。最初からAIに頼っていたグループは、AIを取り上げられたとき、78%が自分の書いた文章すら引用できませんでした。逆に、自分で考えてからAIを使ったグループは、脳が活性化したのです。

査読を通った論文ではないことは番組内でも留保していますが、教育業界で注目されている研究です。

この話へのあきお先生の返しが、現場の先生ならではでした。「予習やって授業を受けましょうって。それと同じっすよね」。AIの新しい話のようでいて、先生方が昔から言い続けてきたことと地続きなのです。

眠くなる座学は、デモで掴む

とはいえ、座学は眠くなりがちです。番組では、生徒を一気に引きつけるデモの小技を3つ紹介しました。

1つ目は、ファクトチェックが必要な事例をその場で見せるデモ。2つ目は、動画生成AIやシミュレーションのデモで、簡単なゲームをその場で作って見せる方法もあります。そして3つ目が、音声チャットのデモです。講義や授業の冒頭で福原がよく使う、織田信長AIに桶狭間の戦いを語らせるデモを、番組内で実際の音声付きで再生しています。

教室が笑いに包まれた後、ある一言をきっかけに空気が変わります。その瞬間の使い方は、ぜひ番組でお聴きください。

実習が、リテラシー授業の成否を分ける

番組後半の主役は実習です。座学を聞いただけでは、生徒はAIを使いこなせるようになりません。座学の授業とは別に、実習のための時間を確保する。45分や50分の1コマを実習に充てるなら、冒頭の10分ほどは座学の復習を兼ねた導入にして、残りの30分から35分はまるごと生徒が手を動かす時間にする。これが番組の提案です。

設計の柱は、多様な課題を用意することです。最低5つ、できれば10個。教科書やノートの写真からAIに質問する、進路相談をするといった真面目な課題だけでなく、画像生成や音楽生成のような遊びの要素も混ぜます。文系と理系で関心が違うように、生徒の好奇心は多様だからです。雑談自由、席移動自由にして、生徒同士の交流を促すのもポイントになります。

一方で、落とし穴もあります。先生がつい自分のAI活用の話をしたくなることです。あきお先生も「俺もやりがちかも」と苦笑いしていましたが、伝えたいことは冒頭10分の導入までに済ませて、実習中は見守る側に回る。ここが実習の成否を分けます。

実習の残り時間が5分から10分になったら、自由課題に切り替えるのもおすすめです。生徒が自分で課題を設定し、プロンプトを作り、出力結果を提出する。福原が支援している学校の授業で集まった実例には、手書きノートからの練習問題生成、源氏物語の続編の創作、サッカーの順位予想まで並びました。わずか5分10分で生徒はここまでやるのかと、先生の側が驚くはずです。

生徒の好奇心は、教室という安全な場所で

リテラシー授業の核心をまとめると、座学で5つのポイントを伝え、実習で生徒の好奇心を思いっきり発散させること。教室という安全な場所で発散させておくと、その後の授業で、生徒は生成AIと落ち着いて向き合えるようになります。

番組ではさらに、現場の疑問に踏み込んでいます。生徒がハルシネーションに一番食いついた瞬間。プロンプトのコツを教えた後の生徒の変化。お手本プロンプトを配る教材の工夫。リテラシー授業を実際にやってきたあきお先生とのやり取りは、明日の授業設計にそのまま持ち込めるはずです。

まずは番組で全体の型を掴んで、座学と実習の組み立てを考えてみてください。

番組を聴く

「先生のためのAIラジオ」#11 はこちらからお聴きいただけます。

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著者

AI教育コンサルタント / 株式会社FlipSilverlining 代表取締役 / 守谷市生成AI活用推進プロジェクトアドバイザー
自治体のAI教育アドバイザーや私立中高の教育コンサルとして学校現場に入りながら、AI時代の教育について書いています。著書3冊(明治図書)、教員研修・講演120回以上、授業視察1,000回以上。

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