テストを返すとき、赤ペンを持っているのはいつも先生です。生徒は、常に採点される側にいます。
もし生徒の立場を逆転させたら、どんな授業になるでしょうか。ポッドキャスト「先生のためのAIラジオ」第16回では、AIが書いた「惜しい答案」を生徒が添削する授業を入り口に、批判的思考をAIで育てる方法を掘り下げました。
AIを使って、批判的思考を鍛える

例えば、社会の論述問題をAIに解かせてみます。生徒に配るのは、模範解答には届かない「惜しい答案」です。どこまでは書けているのか、どこが弱いのか、何を足せば良くなるのか。生徒は先生になったつもりで、赤を入れていきます。いつも採点される側の生徒が、採点する側に回る。子どもたちのテンションが上がる授業でもあります。
この授業では、AIを「正解をくれる先生」として使うのではなく、生徒が「検証する対象」として使うのがポイントです。AI教育の4ステージで言えば、先生が授業でAIを活用するステージ2にあたり、そのなかでも花形と言える活用です。生徒がAIを操作する必要はないので、生徒がAIを使い始める前の学校でも取り組めます。
「惜しい答案」は、わざと作れる

批判的思考は、創造性やコミュニケーション能力と並ぶ21世紀型スキルです。大事だと言われ続けてきた一方で、授業で育てるのは簡単ではありませんでした。練習に使えるちょうどいい教材が少なく、先生が手作りするにはマンパワーが足りなかったからです。
生成AIの登場により、この課題は一気に解決しました。例えば英語なら、文法ミスをひとつだけ含んだ英文を作らせて、生徒が誤りを見つける。生成AIを使えば、例題は10個でも100個でもすぐに生成することができますよね。
最近のAIは性能が上がり、そのまま問題を解かせると模範解答が返ってきてしまいます。惜しい答案がほしいときは、「わざと間違えてください」「ここをミスした答案を作ってください」とプロンプトにひと言添えて頼むのがコツです。
番組では、英語の要約、社会の論述、理科のレポート、国語の作文、数学の証明と、教科ごとのアイデアを順に広げていきました。ご自身の教科ならどんな「惜しい答案」を作らせるか、思い浮かべながら聴いていただけるはずです。
「いくらでも作れる」時代に、必要な力

これからの時代、AIは文章も画像も音楽も、いくらでも生み出すようになります。そのときに問われるのは、たくさん作れることではありません。出てきたものの中から、何が良くて何が良くないのかを自分で判断できることです。批判的思考の重みは、これまで以上に増していくでしょう。
その力を育てる教材は、もうAIで作れるのです。番組の後半では、この授業が単なる間違い探しにとどまらない、もう一段先にあるポイントも掘り下げました。
番組を聴く
「先生のためのAIラジオ」#16 はこちらからお聴きいただけます。
