AIが「作業をまるごとやる」時代が来ている──AIエージェントの話

最近、ある教育関係のツール開発を進めています。といっても、私がコード(プログラム)を実際に書いているわけではありません。AIに日本語で仕様を伝えると、AIがコードを書き、動作を確認し、エラーがあれば自分で修正する。私がやっているのは「こういうものが欲しい」と伝えることと、出来上がったものを確認することだけです。

これを可能にしているのが「AIエージェント」と呼ばれる技術です。今日はこの話をしたいと思います。


【スポンサードリンク】

チャットAIとAIエージェントの違い

ChatGPTのようなチャットAIは、質問すると答えを返してくれるツールです。「この文章を要約して」「英語に翻訳して」といった依頼に対して、テキストで回答する。非常に便利ですが、あくまで「テキストを出す」ところまでが守備範囲です。

AIエージェントは、その先に踏み込みます。こちらが「こういうものを作って」と指示を出すと、自分で計画を立て、コードを書き、実行し、うまくいかなければ原因を分析して修正する。つまり「作業をまるごと遂行する」存在です。

私は元々エンジニアで、かつてはベンチャー企業のCTOとしてソフトウェア開発をしていました。だからこそ実感するのですが、AIエージェントがもたらしている変化は想像以上です。以前なら数日から数週間かかっていた開発作業を、AIが数時間で回してしまう。しかも、こちらはコードを書かず、日本語で指示を出すだけです。

先生が使えるようになったら

もしAIエージェントが誰でも気軽に使えるようになったら、先生方の仕事はどう変わるでしょうか。

たとえば、「自分の授業にぴったりの教材アプリが欲しい」と思ったとき。理科の天体シミュレーションや、算数の図形を動かせるツール。既存のサービスはありますが、自分の授業の流れに合わないことも多いでしょう。AIエージェントに「こういう動きをする教材が欲しい」と伝えれば、自分専用のものが作れるようになります。席替えアプリや行事の予約ページなども同様です。

もう一つ大きいのが、「中身はあるけれど、対象ごとに調整して仕上げる」という繰り返しの作業です。遠足のしおりの作成、同じお便りの低学年向け・高学年向けへの文体調整、児童一人ひとり異なるIDとパスワードを差し込んだカードの印刷。こうした作業は一つひとつは小さいですが、クラス全員分・全学年分となると膨大な時間がかかります。ChatGPTは1件分のテキストなら書けますが、全校分を一括で処理して印刷できるファイルとして仕上げるのは、AIエージェントの領域です。

あとはコストと使いやすさだけ

ただし、現時点ではAIエージェントの敷居はまだ高いです。たとえば私が使っている「Claude Code」というツールは、十分に使いこなすには月額100ドル(約1万5000円)かかりますし、使うにはターミナルというプログラマー向けの画面を操作する必要があります。今の段階で先生方にお勧めできるものではありません。

しかし、ChatGPTがわずか数年で誰もが知るツールになったように、AIの進化と普及のスピードは驚くほど速い。実際、専門知識がなくても日本語で「こんなものが欲しい」と伝えるだけで使えるという点は、すでに実現しています。あとはコストが下がり、操作画面や導入方法がもっと直感的になれば、一気に広がるでしょう。

「AIに指示を出すだけで、アプリや仕組みを作れる時代がもう始まっている」──子どもたちと日々接する大人として、このことを知っておいていただけたらと思います。子どもたちが大人になる頃には、これが当たり前の世界になっているはずですから。