Weekly 教育ニュース(2026年2月16日〜22日)

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今週の教育ニュースから、注目すべき3本をお届けします。教職課程での「障害の社会モデル」必修化、守谷市の生成AI教育課程「さきがけタイム」、そして未成年のSNS利用規制をめぐる国内議論の本格化です。


目次

教職課程で「障害の社会モデル」が必修に——中教審が教員養成の抜本改革案を提示

中央教育審議会の特別支援教育作業部会が2月19日に開かれ、教職課程における「障害の社会モデル」の必修化を含む改革案が提示されました。

「障害の社会モデル」とは、障害を個人の問題ではなく、社会の側にある障壁(バリア)との関係で捉える考え方です。これまで教職課程では、特別支援教育に関する科目は限定的でしたが、今回の改革案では全ての教員が発達障害への理解や合理的配慮の実践力を身につけることが求められます。

背景には、通常学級に在籍する発達障害の可能性のある児童生徒が約8.8%にのぼるという調査結果(2022年・文科省)があります。インクルーシブ教育の理念が進む中、「特別支援は専門家に任せる」という従来の枠組みから、「すべての教員が対応できる」体制への転換が迫られています。

教員養成課程の改革は、5年後・10年後の学校現場を大きく変える政策テーマです。筆者はAI教育のコンサルタントとして日々学校現場に入っていますが、最近よく耳にするのは、特別支援学級の数が年々増え、教室が足りなくなっているという話です。8.8%という数字は、現場の先生たちがまさに日々実感している現実そのものです。

また、筆者はインクルーシブな合唱団の運営団体で、DEI(多様性・公平性・包摂性)の講義にも継続的に参加しています。そこで痛感するのは、「障害は本人の問題ではなく、社会の側にバリアがある」という社会モデルの考え方が、教育現場にはまだ十分に浸透していないということです。今回の必修化は、遅すぎたくらいだと感じています。


守谷市、生成AIを組み込んだ新教育課程「さきがけタイム(仮称)」を2026年度から全小中学校で実施

茨城県守谷市が、生成AIツールを活用した独自の教育課程「さきがけタイム(仮称)」を2026年度から市内全小中学校で実施することが、2月16日の教育家庭新聞で報じられました。

守谷市は、文科省のGIGAスクール構想の下で1人1台端末環境を整備してきましたが、今回はさらに一歩踏み込み、生成AIの活用を学校の学びの時間に体系的に組み込む取り組みです。小学校では従来のモジュール学習の時間を「さきがけタイム」に再編し、中学校では新たに時間枠を設置。児童生徒が探究的な学びの中でAIを道具として使いこなす力を、年間を通じて育てることを目指しています。

筆者はこのプロジェクトにアドバイザーとして参画しており、土台となる生成AIガイドラインの監修を担当しています。記事で紹介されているGeminiやNotebookLMも、教員研修の中で活用を進めてきたツールです。「さきがけタイム」の根幹にあるのは、「児童生徒が自らの未来を自力で切り拓くためのツールとしてAIを活用する」という考え方です。これは、筆者が著書「教師のためのAI教育入門(明治図書)」で提唱した学校でのAI活用の4段階モデル(AI教育4ステージ)でいう最終段階——生徒がAIを文房具のように日常的に使いこなす姿——と重なります。その道筋をカリキュラムとして体系化し、全校展開する事例は全国的にもまだ限られており、自治体レベルの先進的な取り組みとして注目されます。


未成年のSNS利用規制、日本でもWGが本格議論——「守る・聞く・育てる」の3ステップ

子どものSNS利用をめぐる年齢制限の議論が、国内でも本格化しています。教育新聞(2月12日付)では、こども家庭庁が設置した「インターネット利用を巡る青少年の保護の在り方に関するワーキンググループ(WG)」での議論が取り上げられました。

海外では規制の動きが加速しており、2025年12月にはオーストラリアで16歳未満のSNS利用を事実上禁止する改正オンライン安全法が施行されました。こうした国際的な潮流を受けて、日本のWGでも「青少年インターネット環境整備法」の見直しに向けた議論が始まっています。記事では、子どもを守るための規制から、安全に使える仕組み、成長段階に合わせて安全に使うためのスキルを子ども自身が身に付けるという「守る」「開く」「育てる」の3つのステップが重要だと指摘されています。

個人的には、SNS規制がいち早く国内の政策議題に上がったことは歓迎すべきだと感じています。生成AIの急速な発展に伴い、ディープフェイクやAI生成コンテンツの拡散など、子どもを取り巻くリスクは従来のSNS問題より格段に複雑になっています。早いタイミングで議論が始まること自体に意義があります。

ただし忘れてはならないのは、「利用者や保護者、プラットフォーム企業への規制」だけでは不十分だという点です。最終的なゴールは、社会に不可欠なインフラとして浸透しているSNSを、子どもたちが安全に・健全に使いこなせるようサポートすることにあるはずです。記事で示されている「守る」「非ラック」「育てる」の3ステップは、まさにその本質を突いた枠組みだと考えます。とりわけ「育てる」——リテラシー教育の充実——は、AIリテラシーとSNSリテラシーをもはや切り離せない時代において、学校教育が果たすべき中心的な役割です。


【情報源】

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著者

AI教育コンサルタント / 株式会社FlipSilverlining 代表取締役 / 守谷市生成AI活用推進プロジェクトアドバイザー
自治体のAI教育アドバイザーや私立中高の教育コンサルとして学校現場に入りながら、AI時代の教育について書いています。著書3冊(明治図書)、教員研修・講演120回以上、授業視察1,000回以上。

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