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クラウドサービスの障害

ベネッセ社の教育プラットフォーム Classi に大きな障害が発生しています(昨日17:15〜至現在)。Classiは学校と生徒・保護者をつなげるグループウェアで、学校からの連絡はもちろん、生徒に課題を出したり学習動画を配信したりと、様々な用途に活用することができます。休校中の自宅学習のサポートにはもちろん、オンライン授業を実施する際にも有用なサービスのひとつです。しかし、おそらく想定以上のアクセスがあったのでしょう、Classiのサーバーが落ちてしまいアクセスできない状態が続いています。このようなクラウドサービスの障害は、これから他のサービスでも起こると考えられます。


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Classiだけでなく、先月3月16日にはzoomも障害を起こしています。

多くの場合、アクセス負荷に対してサーバーの性能が足りてないときに障害は発生します。サーバーを増強すれば多くのアクセスに耐えられるようになりますが、サーバー増強には大きな費用が発生します。通常、企業はアクセス数を予想し、その負荷に耐えられる水準のサーバーを用意します。オーバースペックになるとコストが大きくなってしまうため、想定した負荷に耐えられるちょっと上のサーバーを用意するのが普通です。(利益の最大化のため)

ところが今回、新型コロナウイルスの影響で、一部のクラウドサービスに利用が集中し始めています。その結果、想定以上のアクセスが発生し、障害に至ったわけです。このようなパターンのクラウドサービス障害は、これからますます発生するでしょう。

ではどうすれば良いのでしょうか。二つの考え方があります。規格化・分業化・同時化・集中化・極大化・中央集権化の工業化社会の考え方と、個性化・統合化・非同時化・分散化・適正規模化・地方分権化の脱工業化社会の考え方です。

工業化社会の人はこう考えます。サーバーが落ちるのは企業が脆弱だからだ。GAFAクラスのクラウドサービスであれば障害のリスクは少ないし、万が一障害が起こってもすぐに対応されるだろう。GoogleクラスルームやOffice365などの信用できるサービスで規格化・集中化しよう。

一方、脱工業化社会の人はこう考えます。クラウドサービスが障害を起こすのは避けられない。「どのクラウドサービスを使えばよいか」という問いの正解はないだろう。ならば、多様な方法を柔軟にやり続けよう。クラウドサービスもひとつに絞らず、臨機応変に使い分けてみよう。そうすれば、ひとつのサービスが障害で使えなくなっても別の手段で対応することができるよね。