お正月休みの最終日、家族と映画「国宝」を観てきました。任侠の一門に生まれながら歌舞伎役者の家に引き取られ、芸の道に人生を捧げた男の50年を描いた作品です。2時間55分という長尺にもかかわらず、一瞬たりとも目が離せず、観終わった後は深い感慨に包まれました。
任侠の血を引く主人公は、上方歌舞伎の名門当主に引き取られ、その実子とライバルとして互いに高め合いながら、芸に青春を捧げていきます。しかし二人を取り巻く運命は最後まで過酷で、もがき苦しむ壮絶な人生の中で、修羅のごとく芸を追求する主人公の生き様が鮮烈に描かれています。
実の娘への情さえ断ち切って芸道に邁進する主人公の熱情は、家族を何より大切にする私の価値観では共感しきれない部分もありました。それでも、その凄絶な美学と狂気、そして日本の芸能界に根深く存在する血筋のしがらみには、ただただ圧倒されるばかりでした。
「俊坊。お前は生まれた時から役者の子や。何があってもあんたの血が守ってくれる」
このセリフには唸らされました。
また中盤、稽古場面での「お初として生きてへんから、お初として死ねへんねん」という師匠の言葉は、正月に学んだ「頭でも胸でもなく、腹で話すことが相手に伝わる」という教えと響き合うものを感じました。
驚くべきことに、この作品の主要キャストに本職の歌舞伎俳優はいません。主演の二人は1年以上かけて歌舞伎を学び、その成果は歌舞伎界からも高く評価されたといいます。まだ上映中ですので、興味を持たれた方はぜひ劇場へ足をお運びください。
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