今日紹介するのはSF小説「断絶への航海」です。今から38年前にイギリス人のジェイムズ・P・ホーガンによって書かれた作品ですが、その内容は”社会の在り方”や”人の愚かさ”について多くの示唆に富んでおり、まったく古臭さを感じさせません。資本主義社会、民主主義の先を考えたい人には、非常に読み応えのある本となっています。お勧めです。
書籍紹介
第三次世界大戦の傷もようやく癒えた2040年、アルファ・ケンタウリから通信が届いた。大戦直前に出発した移民船〈クヮン・イン〉が植民に適した惑星を発見、豊富な資源を利用して理想郷建設に着手したというのだ。この朗報を受け、〈メイフラワー二世〉が建造され、惑星ケイロンめざして旅立った。だが彼らを待っていたのは、地球とはあまりにも異質な社会だった……現代ハードSFの旗手が放つ壮大なスペース・ドラマ!
惑星ケイロンを理想郷にするために、人類は惑星ケイロンに数百人の赤子と育児ロボットを事前に送り込みます。地球から送り込まれた赤子は、地球とは全く異なる環境下で成長し、独自の社会を築いていくことになります。ケイロン人とケイロン社会の誕生です。
そして数十年後、人類は移住目的で惑星ケイロンへ向かうのですが、そこで「地球人による資本主義社会」と「ケイロン人による新しい社会」がぶつかり、資本主義社会が徐々に瓦解していくことになるのです。この時の「社会が相変換を起こすシナリオや様子」がとても興味深く、非常に多くの示唆に富んでいました。
私たち人類は、新型コロナウイルスやロシア-ウクライナ戦争などの多くの社会課題を抱えています。地球市民として、また社会全体として”どう在るべきか”を一人ひとりが考えていく時期なのかもしれません。「断絶への航海」を読んで、そんなことを深く考えさせられました。お勧めの一冊です。
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