マーケティング業界には「キャズム理論」という考え方があります。キャズム理論によると、ある商品やサービスが世の中に広まるためには、超えなければならない「深い溝(キャズム)」があるといいます。キャズムを超えるまでの商品・サービスは、新しい物好きの人にしか使われていない状態で、まだまだマイナーな状態です。しかし、ひとたびキャズムを超えて人々が使い始めると、爆発的に世の中に広まってメジャーになるといいます。実は今、学校教育においてキャズムを超えそうな選択肢があるのです。今日はそんなお話です。
保護者が公教育を捨てる日
今朝、ある保護者が書いたブログがFacebookでシェアされてきました。とても衝撃的な内容でしたので、少しだけ引用させてもらいます。
長男が来年から中学生になるのだが、もう公教育のお世話になりたくない。
もともと「小学校はまだしも中学校はヤダなぁ……」と思っていたのだが、今回の新型コロナ禍でその不信感は決定的、ダメ押しになった。
(中略)
新型コロナのおかげで学校組織のいびつさがはっきりと見えたし、それを改善する力は学校にはない。自粛期間中に、学校の先生が生徒の自宅を訪問してプリントを手で配っていたと聞いて、おれのなかでなにかが切れた。
「公教育と縁を切る」より引用
そう言って公教育の代わりに保護者が選んだのは、角川ドワンゴの経営するN高校の中等部でした。
N高校(N中等部)はインターネットと通信制高校の制度を活用した新しいタイプの学校で、広域通信制の特例を使って「個別最適化の教育」を展開しています。(詳しくはN高の公式ホームページをご覧ください。)
これまでの広域通信制の学校は、「不登校になっている生徒のための受け皿」というイメージが強かったと思います。しかし、 2016年にN高が登場して以来、そのイメージは大きく変わりつつあります。
今や広域通信制学校は、生徒・保護者にとって有力な選択肢のひとつになりつつあります。広域通信制を選ぶ生徒・保護者は年々増えており、いずれはXデー(キャズムを超える日)が訪れるでしょう。
Xデーが到来するのは、早ければ5年後、遅くとも10年後ぐらいだろうと私は予想していました。しかし、冒頭の保護者のブログ「公教育と縁を切る」を読んで、Xデー到来は予想よりもずっと早いかもしれないと感じました。実際、コロナによってこの流れは間違いなく加速されています。
N高の生徒数、1万5千人に急増 難関校からの転入も 校長が語る「選ばれる理由」
Xデーに備えよう
もちろん今の公教育には、広域通信制よりも優れているところがたくさんあります。しかし同時に、公教育が変わっていかなければならない部分もたくさんありますよね。保護者が公教育を捨てるのは、広域通信制の方が優れているからではありません。変わらなければならないのに、公教育が全く変わらないから広域通信制を選ぶのです。
「「死の受容5段階」で教育業界を見る」でも書きましたが、そろそろ私たちは広域通信制という選択肢を受けれていく必要があるでしょう。学校の先生は、広域通信制について調べてみてください。保護者の方は、もし学校のコロナ対応などで悩まれていましたら、広域通信制という新しい選択肢を検討してみてください。「広域通信制について調べること」が、Xデーに備えるための第一歩になります。
学校の先生にも保護者の方にもおすすめなのが、6月25日に発売されたばかりのこちらの書籍です。N高をはじめとする様々な広域通信制学校の紹介と、今後の教育や社会について丁寧に書かれています。この本の内容については、また後日ブログで紹介したいと思います。
4 comments
Pingback: 【本紹介】広域通信制学校について日本で一番詳しい本 | 福原将之の科学カフェ
Pingback: 先生のための Weekly 教育ニュース(8/24〜8/30) | 福原将之の科学カフェ
Pingback: 「Class for Zoom」で先生が押さえておきたい2つのポイント | 福原将之の科学カフェ
Pingback: N高等学校のプレスリリース、新たにS高等学校を新設 | 福原将之の科学カフェ