(承前)2月16日(日)に開催された第4回新中学入試セミナーの開催レポート(7)です。和洋九段女子中学校高等学校の生徒たちによる「PBLで生まれたSDGsスゴロクワークショップ」の続きです。参加者によるSDGsスゴロクの振り返りが終わると、最後は和洋九段女子の生徒たちによる「SDGsスゴロクの総括」と「生徒への質問タイム」が行われました。
SDGsスゴロクの仕掛け
和洋九段女子の生徒たちによる総括(まとめ)では、SDGsスゴロクに隠された仕掛けについて種明かしが行われました。その仕掛けは、全員がゴールした後に行われた「コインと目標の交換タイム」に施されていました。
交換タイムでは、参加者はゲーム中に獲得した「コイン」を使って「SDGsの目標」と交換することができました。このとき、ファシリテーターの生徒たちから「コインはどう使っても結構ですよ」とアナウンスがあったのが、仕掛けのポイントだったのです。
参加者たちは、自国(自分たちのチーム)がSDGs目標をたくさん達成できるように、自国のためにコインを使っていました。それが普通のことだと思います。しかし、生徒たちは言いました。「コインは自由に使えるので、他の国(プレイヤー)に援助することもできたのですよ」と。
その言葉を聞いて、参加者たちは全員ハッとしました。そうなのです。SDGsをテーマにしていたにも関わらず、私たちは競争社会の考えで行動してしまっていたのです。現代社会で暮らしている私たちは、無自覚のうちに競争社会の行動パターンで行動するようになっていたのでしょう。SDGsスゴロクは、私たちの中にある「無意識の思考や行動パターン」に気づかせてくれるPBLだったのです。
和洋九段女子のZ世代の生徒たち
SDGsスゴロクが終わった後は、和洋九段女子の生徒たちへの質問タイムが取られました。参加者たちはSDGsスゴロクを開発した和洋九段女子の生徒たちに興味津々で、様々な質問が行われました。
私が個人的に印象的だったのは、「SDGsスゴロク開発で苦労したこと、工夫したことは?」という質問です。生徒たちは次のように答えていました。
- 「大変だったのは、SDGsの目標を達成させる順番を考えることです。例えば、1番の貧困を解決しないと、ほとんどのSDGS目標は達成できません。そこを意識しました。」
- 「ひとつひとつの目標がどれに繋がっているのかを考えたら、ホワイトボードいっぱいに相関図が広がってしまい、それをまとめるのが大変でした。」
- 「マス目イベントのFREEマスについても、すごく考えました。自分たちが(FREEマスの)質問に答えられなかったら意味がありませんから。」
彼女たちの頼もしい質疑応答を聞きながら、和洋九段女子のPBL型授業によってZ世代の生徒たちが確実に育っているのだと、改めて実感しました。
生徒への質問タイムが終わると、会場は自然と拍手に包まれました。参加者たちの表情には笑みがこぼれていました。このSDGsスゴロクワークショップを通して、多くのことを感じ取れたのではないでしょうか。素敵なワークショップをありがとうございました。
さて、SDGsスゴロクワークショップはこれで終わりになりますが、第4回新中学入試セミナーはまだ続きます。次のプログラムは、PBLを実践している学校の先生と生徒たちによるパネルディスカッションです。和洋九段女子の生徒たちも引き続き登場しますので、お楽しみに。(続く)