【開催レポート】第4回新中学入試セミナー(8)新タイプ入試の第一人者とZ世代の生徒によるパネルディスカッション

2月16日(日)に開催された第4回新中学入試セミナーの開催レポート(8)です。和洋九段女子の生徒たちによるSDGsスゴロクワークショップの後は、新タイプ入試とPBLをテーマにしたパネルディスカッションが行われました。パネリストは、聖学院中学校高等学校の21教育企画部長・児浦良裕先生に工学院大学附属中学校高等学校の教務主任・田中歩先生、和洋九段女子中学校高等学校の教頭・新井誠司先生、そして首都圏模試センター取締役・教育研究所長の北一成先生です。この新タイプ入試の第一人者の先生方に、和洋九段女子のZ世代の生徒たちが加わり、自分たちの想い・考えを語り合う深い対話が行われました。


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教員から見た新タイプ入試

最初に、和洋九段女子の新井先生から、今年2月に行われたばかりのPBL型入試の動画が紹介されました。和洋九段女子のPBL型入試は「日本で一番、入試らしくない入試」と呼ばれており、その入試光景は(和洋九段女子にとっては)日常のPBL型授業のようでした。

「PBL型入試では高校二年生の生徒が受験生チームのファシリテーターとしてサポートしてくれています。」と新井先生。驚いたことに、ファシリテーターの生徒たちは受験生の評価にも携わっているそうです。日常的にPBL型授業に参加している和洋九段女子の生徒だからこそなのでしょう。Z世代の生徒たちに対する大きな信頼感が伺えました。

続いて、古くから思考力入試を実施してきた聖学院の児浦先生から、思考力入試を通って入学した生徒たちの成長について紹介がありました。「思考力入試で特待生で通る子でも、四科や二科の試験だとギリギリの点数しか取れない場合もあります。」と児浦先生。「でも、思考力入試を通った生徒は、入学後に成績や才能がすごく伸びるんです。」そう言って、生徒たちの成長事例を丁寧に紹介してくれました。

聖学院と同じく、初期から思考力入試に取り組んできた工学院の田中先生は、思考力入試の問題をスライドで見せながら、試験中の受験生の変容について紹介してくれました。例えば、「卵が割れないように二階から落とす問題」では、実験で卵が割れてしまったら不合格のイメージがあります。しかし工学院の思考力入試では、実験の後にリフレクション(振り返り)が用意されており、実験が失敗した受験生も十分挽回が可能になっています。このリフレクションで受験生が新たな気づきを得ると、教員の想像を越えて自己変容することがあるそうです。

首都圏模試センターの北先生は、新タイプ入試が登場したばかりの4年前は、多くの学習塾は新タイプ入試に対して批判的だったと言います。しかし最近では、公立中高一貫校の適性検査対策をしている学習塾を中心に、新タイプ入試が受け入れられ始めているそうです。また、新タイプ入試の特徴として「出願者数自体は多くないが、受験生の受験率と合格後の入学率は非常に高い」と説明し、「新タイプ入試を行わないのは、学校にとって機会損失かもしれない」と指摘しました。(続く)