東洋経済新報社が全国600人の小・中・高の教員に向けて行ったアンケートによると、5月29日の時点でオンライン授業の経験のある教師は、たった16.2%だそうです。また文科省の調査によると、一斉休校中にオンライン授業を行った公立学校は、全体のわずか5%でした。今日紹介する本は、そんな大多数の「オンライン授業未経験の先生」のための手引書です。「Zoomでオンライン授業をやってみたいけど、何から始めれば良いかわからない」、そんな先生が近くにいましたら、是非この本を紹介してあげてください。
書籍紹介
目次は次の通りです。
- オンライン授業が求められている
- オンライン授業やってみよう!
- オンライン授業を始めるために〜Zoomを使い始めてみよう
- 朝の会をやってみよう!
- 実際のオンライン授業の進め方
- 子どもが交流して学べる自習室を作ってみよう!
- 『学び合い』の利用方法
- これから起こること
タイトルと目次からは分かりにくいですが、この本は「初心者向けのZoomを使ったオンライン授業のマニュアル本」です。Zoomを全く触ったことのない先生でも取り組めるように、Zoomのインストールからオンライン授業の方法まで、操作時のスクリーンショット(写真)付きで分かりやすく説明しています。
上越教育大学の西川研究室のページには、子供たちのためのZoomマニュアルが公開されています。パソコン版とスマホ・タブレット版のPDFがダウンロードできるため、そのまま再配布することが可能です。
実は著者の西川先生とご縁があって、私もこの本の執筆に少し関わっています。Zoomの初期設定やセキュリティ問題について担当しましたので、読んでいただけると嬉しいです。
最後に、Amazonのレビューを一部紹介します。
全体を通して、子どものためにできること、やったほうが良いことという視線で記述されています。なので、オンラインで利用できない子どもがいて不平等なのでオンライン授業は実現できないという意見に対しても、「子どものため」視線からの反論が行われるなど、できない理由を探すのではなく、できる方法を考えるという方向で記述されています。
副題に「Zoomでできる」などとつけた方が良いぐらいに、Zoomの推奨される初期設定からオンライン授業の方法まで、詳しく書かれています。また、その説明に関しても、行う実践に必要な機能が必要な場所で説明されているので、よりわかりやすくなっていると感じました。有料プランの支払い方法についても、学校で清算できる方法が説明されていたりと、痒い所に手が届く内容になっています。
基本的にスクリーンショットをたくさん使った説明なのでわかりやすいと思います。ただ、文中での「右下のなになにというボタン」などの表記の部分は、そのボタンやアイコンの図なども含めて書いてあげることで、もっとわかりやすくなるのではないかなと思いました。
Zoom以外のツールとしては、子どもたちが一緒にまとめや進捗の記録などができるように、Googleドキュメントとスプレッドシートの共同編集機能が利用されています。
(中略)
最初の章で、現状でオンライン授業を行うことに関しての、通達文章などによる理論武装もされていて、校長などの管理者に対しての説明などにも役に立つと思います。
とりあえず、オンライン授業を始めたいが、どのようなツールが使えるのかやどのような実践が可能なのかを知るための最初の一歩としてはこの本はお勧めです。
さらに、従来型の学校の管理者に対する説得の材料としても、十分役に立つと思います。
Amazonレビューより一部引用
今、東京や大阪では再び感染が広がりつつあります。オンライン授業は、Withコロナ時代における重要な手段です。「オンライン授業の経験のある教師」を増やすことが、日本中の子供たちを守ることに繋がっていると確信しています。この本が、その一助となれば幸いです。
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