毎週月曜日は「先生のための Weekly 教育ニュース」というシリーズでブログを更新しています。今日は「緊急事態宣言でも休校は要請せず、大学入学共通テストも開催」「全教員にデジタル指導力を、来年度から専門家9000人派遣」「政府、Zoomの利用を解禁」「大学入試センター、来年度5億円赤字見込み」について取り上げています。
緊急事態宣言でも休校は要請せず、大学入学共通テストも開催
休校要請については意見が分かれるところですが、大学入学共通テストの開催を早い段階で宣言したことは良いことですね。
萩生田光一文部科学相は27日の閣議後記者会見で、新型コロナウイルス感染症が拡大し、緊急事態宣言が発令された場合でも、全国一斉の休校は要請せず、来年1月の大学入学共通テストも実施する考えを示した。
西村康稔経済再生担当相が26日に「(感染爆発の)ステージ4となれば緊急事態宣言が視野に入る」と発言したことを受けた。政府は今年2月末、全国一斉の休校を要請。休校は長い地域で3カ月に及び、学習遅れなどの問題が生じていた。
休校要請を出さないのであれば、登校できない事態が生じた自治体・学校に対してオンラインで学びを保障する準備を推奨すべきでしょう。
実際、同居家族に高齢者や基礎疾患のいる子供たちや、自分自身に基礎疾患のある子供たちの多くは、学校に登校できていないでしょう。文部科学省や学校には、このような子供たちのケアを期待します。
全教員にデジタル指導力を、来年度から専門家9000人派遣
色々と心配になる施策です。
政府はデジタル活用の能力を備えた小中高校の教員育成に乗り出す。授業でのICT(情報通信技術)活用法を各教科で示すとともに、来年度からICT関連企業OBらを学校に最大9千人派遣。将来は全教員が遠隔授業などを実施できるようにする。新型コロナウイルスの感染拡大も視野に入れ、世界的にみて大きく出遅れている指導力の底上げを急ぐ。
まず「デジタル人材育成には約100万人の小中高校の教員全員がICTや指導法に習熟する必要がある」という考えには、私は同意できません。
企業ですら「ICTが得意な人」もいれば、そうでない人もいます。「教員全員がICTに習熟」というゴールは、非常に工業化社会的で現実的ではありません。
また「将来は全教員が遠隔授業などを実施できるようにする。」という目標設定にも、首を傾げてしまいます。オンライン授業は技術的に難しいものではありません。
公立学校でオンライン授業があまり実施されなかった原因は、技術的な問題ではなくカルチャーやマインドセットではないでしょうか。
個人的には「全教員がオンライン授業をできるようになる」という目標設定をするなら、「不登校の子供たちへのケアとして全学校でオンライン授業を導入する」の方が素敵だと思います。
校内でオンライン授業をできる先生が数人いれば、コロナで一斉休校になってもオンライン授業が実施できるでしょう。(もちろんカルチャーやマインドセット、学習観のシフトなどの問題はありますが。)
政府、Zoomの利用を解禁
企業だけでなく学校でもセキュリティ的にZoomを禁止しているところがあります。このニュースをきっかけに、学校でもZoomの利用を解禁する流れになってほしいですね。
政府がビデオ会議システム「Zoom(ズーム)」による国会議員とのやりとりを解禁したことが26日、分かった。国会審議前の質問通告や政策説明などの場面で活用できる。デジタル改革の中核となる内閣官房情報通信技術総合戦略室と内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)が連名で25日付で各省庁に通知した。
「政府、「Zoom」の利用を解禁」より引用
大学入試センター、来年度5億円赤字見込み
来年1月から始まる大学入学共通テストの実務を担う独立行政法人大学入試センター(東京都目黒区)が来年度以降、年間約5億円の赤字を試算していることが関係者への取材で分かった。18歳人口の減少による受験者減が理由。50万人以上が受験し、約9割の大学が利用する共通試験の運営基盤が揺らぐ事態になれば、将来的な検定料の値上げにつながりかねない。