通信制高校の新基準「生徒80人に教員1人以上」等に対するN高の声明

文部科学省の「令和の日本型学校教育」の実現に向けた通信制高等学校の在り方に関する調査研究協力者会議にて、通信制高校に対する様々な規制が検討されています。先日紹介した「2023年度から通信制高校に対して『生徒80人当たり教員1人以上』」という基準もそのひとつです。通信制高校のビジネスモデに大きな影響を与えうるこれらの件について、通信制高校のトップシェアを誇るN高等学校・S高等学校が声明を発表しました。


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N高等学校・S高等学校の声明

N高等学校・S高等学校の公式ホームページにて声明が出されました。

非常に長文ですので、一部ポイントとなる箇所を引用します。

2.学習における一律の時間的・量的規制は生徒の自由な学びの妨げになるので行うべきではない

しかし、今回の「まとめ案」では、通信制においても一律に「1単位あたり35単位時間の学習時間」を標準とした設計を求めることとされ、添削課題や試験に一定量の記述式を取り入れるべきなど、現行の学習指導要領の範囲を超える時間的・量的な枠を定める議論がなされています。このような一律の時間的・量的基準は、「個別最適な学び」の方向性と矛盾するものであり、逆に生徒の学びの妨げになりかねません。

「個別最適な学び」には、生徒一人一人の状況に応じた学習設計が必要です。通信制高校を選択する生徒の中には、効率的に学びながら自分の将来につながるスキルの習得に時間をかけたい生徒、スポーツや文化芸能活動を優先的に行いたい生徒など、一人一人にさまざまなニーズがあります。教科学習においても、義務教育段階からじっくり復習したいと望む生徒もいれば、早期に先の段階へ進みたい生徒、大学レベルの内容まで深く学びたい生徒もいます。

3.教員免許に固執し多様な社会人や専門人材が教育に参画する道を閉ざすべきではない

しかしながら、「まとめ案」では、「少なくとも生徒数80人当たり教諭等が1名以上必要であることを基準として設定していくべきである」と、多様な社会人や専門人材の配置に重きを置くよりも、むしろ教員免許に固執した人材配置に重きを置く議論がなされています。

従来の通信制高校に対する最小限の基準であれば、各学校において、生徒の実態やニーズに即した人材採用や人員配置が可能でした。先に述べたような学校外の多様な人材にもある程度柔軟に参画してもらうことができ、この制度設計は、通信制高校の生徒が求める多種多様な学びを提供する上で、重要な要素になっていました。しかし、今回の「まとめ案」に示された教員免許に重きを置く規制は、このような人材の教育への参画を困難にし、各校の自由な取り組みを妨げるものであり、「個別最適な学び」の方向性とは乖離しているものとしてきわめて遺憾です。

総じて、今回の「まとめ案」の問題は、21世紀型教育に、従来の20世紀型教育の枠を当てはめようとしている点にあります。当学園は通信制高校の一員として、「ネットを駆使した未来の学校」を目指し、オンライン・デジタルを最大限活用して21世紀型の新しい教育の実現に取り組んできました。今後も、すべての学校がそれぞれの特色を生かし、一人一人の生徒を主語とした高校教育が実現されるよう、各校の積極的取り組みを後押しする弾力的な基準が作成されることを心から期待します。

通信制高校有識者会議審議まとめ案が確定したら、N高・S高などの大規模な私立通信制高校は決断を迫られるでしょう。ひとつは文部科学省に従って自分達の特徴を規制していく道。もうひとつは一条校の資格を捨てて今まで通りをつらぬく道です。「生徒80人に教員1人」だけならともかく、「1単位あたり35単位時間の学習時間」も含まれているので、前者の道はなかなか険しいでしょう。

通信制高校有識者会議審議まとめ案は文部科学省のホームページから確認できますので、興味のある方はぜひこちらにも目を通してみてください。