昨日に引き続き、通信制高校に関する内容です。現時点での通信制高校有識者会議審議まとめ案が文部科学省ホームページに公開されましたので紹介します。
通信制高校有識者会議審議まとめ案
令和4年8月29日に実施された「令和の日本型学校教育」の実現に向けた通信制高等学校の在り方に関する調査研究協力者会議(第10回)にて、まとめ案が出されました。一次情報はこちらです。
特に大事なのがこちらの資料です。
【資料1ー1】通信制高校有識者会議審議まとめ(案) (PDF:452KB)
重要箇所を一部引用します。
(1)高等学校教育として相応しい質を確保する学習の設計
○ 高等学校においては、初等中等教育の最後の段階である教育機関として、 知識・技能、思考力・判断力・表現力等、学びに向かう力・人間性等をバ ランス良く確実に育成し、生徒一人一人の能力を最大限引き出していく ことが重要である。
○ こうした教育を実施するために、高等学校学習指導要領においては、例 えば、「35 単位時間の授業を1単位として計算することを標準とする」 旨が規定されている。通信制課程においても全日制・定時制課程と同等 の学習が求められることは言うまでもないが、通信制の課程では、教育課程の特例として、現状では、各教科・科目の1単位当たりの添削指導回数と面接指導単位時間数が規定されているのみとなっている。
○ この点、通信制課程においても、高等学校教育として相応しい質を確実に確保するために、1単位当たり、例えば、面接指導と添削課題に要す る学習時間(メディアを利用した学習を含め、これらに類するものを含 む。)の総計を 35 単位時間を標準として設計するなどして、高等学校学 習指導要領に定める各教科・科目の目標を達成するよう教育を行わなけ ればならない旨をガイドライン等に明記していくべきである。
○ このため、通信制高等学校においても、生徒のケア等を担当する専門・ 支援スタッフと連携しつつ、クラス担任制のように、生徒一人一人の状 況をしっかりと見て適切な対応を取ることができるように指導体制を整 える必要がある。具体的には、専門・支援スタッフの配置や、多様なメ ディアを利用した学習に伴う面接指導等時間数の減免等が行われている 場合であっても、教師が面接指導や添削指導の実施・評価や試験の採点・ 評価、専門家等と連携した生徒指導などを生徒一人一人の状況に応じて きめ細かく行う必要があることを踏まえれば、差し当たり、少なくとも 生徒数 80 人当たり教諭等が1名以上必要であることを基準として設定 していくべきである。ただし、ここで強調しておくべきなのは、これ は必要最低の基準であって、不登校経験者など多様な生徒が多数在籍し、15 歳から 18 歳の生徒が増えるなど若年化している学校にあっては、決 して生徒数 80 人当たり教諭等1人で十分ということではないというこ とと、専門・支援スタッフとの連携が重要であるということである。通 信制高等学校においては、生徒数 40 人当たり教諭等1人以上とされて いる全日制・定時制 14以上に、生徒一人一人に寄り添って伴走して支援 を行う体制を整えていくことが重要であることを併せて適切に周知して いくべきである。
○ また、収容定員については、生徒一人一人の状況をしっかりと見て適切な対応を取ることができる指導体制・教育環境等が整っているかどうか が重要であることから、設置認可の際に適切にこれを確認していくべき である。また、より特色ある教育の提供を可能とする観点からも、前述 の必要な教諭等の数の設定と合わせて通信制課程の規模の下限を 240 人 としている現行規定は撤廃していくべきである。
ご覧の通り、通信制高校が特例で免除されていた「1単位あたり35単位時間の学習時間」が一律に制限されること、添削課題や試験に一定量の記述式を取り入れること、そして「生徒80人に教員1人」を担保することなどが組み込まれています。N高等学校・S高等学校などの大規模な私立通信制高校は反発するでしょう。今後の流れに注目です。
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