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工業化社会と脱工業化社会のオンライン授業

ICTを使った対面でのオンライン指導に取り組んでいる学校は、今のところ全国で5%だとNHKが報道していました。5%は数字としては少ないですが、もし5月7日以降も休校期間が延長されれば、オンライン授業に取り組む学校はこれからもっと増えていくと思います。生徒の学習を支援する一つの手段として、オンライン授業が普及することは喜ばしいと思っていますが、一方で不安も感じています。それは、工業化社会のオンライン授業が実施されてしまうことです。


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Society5.0は脱工業化社会(3)の記事でも書いたように、従来の学校制度は工業化社会の考え方がベースになっています。例えば、学校指導要領によって学ぶべき内容は規格化され、授業は時間割によって同時化され、科目によって分業化されているのです。

このような工業化社会の考え方でオンライン授業を実施すると、おそらく次の様になります。各クラス毎に1時間目から6時間目までの時間割を作成し、全員参加のオンライン授業をリアルタイムで実施するのです。これまでの学校での授業を、何も考えずにそのままオンラインに置き換えることになるでしょう。

毎日6時間、オンライン授業を黙って受ける学習方法は、正直子供の負担が大きいでしょう。もちろん、PBLやグループワークが中心のオンライン授業なら、話は全然変わります。ただ、講義をオンラインで毎日6時間受講するのは、大人でも大変だと思いませんか?

一方、脱工業化社会の学校では、次のように考えます。オンライン授業は、子供の学習をサポートするための手段のひとつに過ぎない。そして、手段は他にもあると考えます。例えば、宿題プリントや教科書、問題集はもちろん、学校の先生による授業のオンデマンド配信や、民間の優れた教育コンテンツ(動画や問題集やアプリ)も手段のひとつとして考えます。

オンラインの活用方法においても、リアルタイムの授業を行うオンライン授業だけでなく、生徒の質問に答えるオンライン質問会や、生徒同士がオンラインで一緒に勉強するオンライン自習室なども手段として考えられるでしょう。

脱工業化社会の学校では、これらの多様な手段を組み合わせながら、生徒の学びをデザインします。授業をすること自体が目的では無いので、オンライン授業に固執することがありません。多様な手段を駆使して、生徒の学びをサポートするのです。

4月21日の文部科学省による学校向けの通達では、ついに「一律の各種ICT活用ルールにとらわれることなく」と明記されました。明日のブログに詳しく書く予定ですが、これは脱工業化社会へのシフトを意味します。これからオンライン授業に取り組む学校の先生は、脱工業化社会の考え方を意識することをお勧めします。