昨日の続きです。先日、デジタル庁から「学習履歴など個人の教育データについて、2025年ごろまでにデジタル化して一元化する仕組みを構築する」という指針が示されました。いわゆる教育のDX(デジタルトランスフォーメーション)ですね。このような教育DXを政府が進めている狙いは3つあります。二つ目の狙いは、eポートフォリオなどに使われる「エビデンスとしてのPDS」です。
PDS(パーソナルデータストア)とeポートフォリオ
先日のデジタル庁の取材記事には、以下のようにあります。
2025年ごろまでに個人の学習履歴や授業の出欠状況など、教育データをデジタル化して一元化するとしています。
こうした教育データを学校や教育機関が共有し、教育の向上につなげたいとしています。
そして、2030年ごろまでに本人が閲覧できるようにし、生涯学習などに役立てられるということです。
教育データを単に取得するだけではなく、「本人が閲覧できる」ようにするというのがポイントです。デジタル庁のロードマップ資料を読むと、「学習者がPDSを活用して生涯にわたり自らのデータを蓄積・活用できるように(P3)」とあります。
PDSとはパーソナルデータストアの略称で、簡単にいうと「個人情報を蓄積し管理するシステム」のことを言います。
皆さんは何か情報を調べる際、Googleなどの検索エンジンを利用しますよね。他にも、Amazonで本や日用品、ZOZOTOWNで洋服を購入したり、地図アプリを使って目的地への行き先を調べたりとさまざまな行動をしています。何が言いたいかというと、皆さんのパーソナルデータ(閲覧履歴、購入履歴、位置情報など)は、さまざまなサービスに分散してしまっていて、自身で蓄積・管理はできていないのです。こうした各所に散らばるパーソナルデータを蓄積・管理し、利活用したい第三者に提供できる機能を持つシステムがPDSです。
PDS(パーソナルデータストア)とは。情報銀行との違いは?
「勝手に個人情報を管理されるのは怖い」と思いますが、PDSにおいては自分自身ででパーソナルデータをどの事業者に提供するか選択することができます。自分の知らないところで勝手に個人情報を閲覧されたりすることはない仕組みなので安心してください。
PDSが利用できると何が嬉しいのでしょうか。一番のメリットは、「信頼できるエビデンス」として活用できる点です。
これからの社会では、単なる学歴よりも「これまで何を学んで、どのようなスキルを持っていて、どのような仕事を行ってきたのか」が就職活動で重視される時代になります。つまり、自分自身の今に至る過程を記録したeポートフォリオなどが大事になります。その際にPDSは、eポートフォリオに書かれた内容のエビデンス(証明)として活用されるようになります。
大学受験に利用するための「eポートフォリオ」は失敗しましたが、個別最適化が進む社会においてeポートフォリオの重要性は増していくでしょう。学校は生徒たちの学習履歴をデータ化するだけでなく、データ(エビデンス)をベースにeポートフォリオを書いていく方法を学ばせる必要があるでしょう。