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個人の学習履歴を政府がデジタル化する3つの狙い(1)人工知能による個別アドバイス

先日、デジタル庁から「学習履歴など個人の教育データについて、2025年ごろまでにデジタル化して一元化する仕組みを構築する」という指針が示されました。いわゆる教育のDX(デジタルトランスフォーメーション)ですね。このような教育DXを政府が進めている狙いは3つあります。一つ目の狙いは、「人工知能(AI)による個別アドバイス」です。


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人工知能による個別アドバイス

生徒の学力や学習履歴、生活習慣アンケートなどをデジタル化して一元化するメリットのひとつは、人工知能(AI)を使った様々なサポートが可能になる点です。

具体的には今までのビッグデータから子供たちの「将来の学力予測」や「将来の健康状態」の予測が可能になります。さらにこれらの人工知能の予測を用いて「個別最適化された学習教材やカリキュラム」を作成し、個別最適化教育に展開する狙いも考えられます。

このような教育データの活用方法は、埼玉県が2019年から実践研究事業として取り組んでいるため、参考になるでしょう。以下、埼玉県の「AIを活用した学びの実践研究事業」の引用です。

1 趣旨

埼玉県学力・学習状況調査の結果をはじめ、小・中・高等学校で得られる様々 なデータとAI(人工知能)を活用して、よりきめ細かい個に応じた指導の実 現を目指す。

2 事業内容

(1) 県学力・学習状況調査と学校保有データのAIによる分析

既に蓄積されているビッグデータである埼玉県学力・学習状況調査の結果や、小・中・高等学校で得られる定期考査、生活習慣アンケートの結果等のデータを組み合わせて、AIによる分析を行う。

(2) 個に応じた指導の実践研究

ア 個別アドバイスシート、個別学習教材の作成
・ AIによる分析結果を活用し、児童生徒一人一人の学力や学習状況な

どに応じた個別アドバイスシート、個別学習教材(試作版)の改良 イ 個別アドバイスシートを活用した個に応じた指導の実践研究

・ 個別アドバイスシート、個別学習教材(試作版)を活用したモデル校 での個に応じた指導の実践研究

令和3年度当初予算案における主要な施策 – 埼玉県

オーソドックスな人工知能の活用方法ですね。注意点としては2つあります。

  • 「何を学ぶかの個別最適化」ではなく「学習方法の個別最適化」であること
  • 「将来の学力予測」によって反対に生徒の可能性を狭めるリスクがあること

「人工知能による個別アドバイス」は上記の点に注意して適切に運用していけば、生徒のストレスを軽減して効率的に学習を進めることが可能になるでしょう。