eポートフォリオの記録に必要な唯一の機能

昨日に引き続き、ポートフォリオに関する記事です。ポートフォリオの本質は「自分のブランディング」だという話をしました。仮に大学入試でeポートフォリオが使われなかったとしても、中学校・高校でポートフォリオを書く練習をすることは、生徒たちの将来にとって有意義なのです。

しかし、いざ生徒たちに「ポートフォリオの記録」を始めさせようと思った場合、最初に困るのが「何を使って記録させれば良いか」という点です。そこで今日は、ポートフォリオを記録するサービスに求められる「唯一の機能」について紹介したいと思います。


【スポンサードリンク】

魅力的なポートフォリオの条件

説得力のあるポートフォリオの条件は、第一に「自分の過去の体験とエビデンス(実績)」に基づいて書かれていること。そして第二に、自分の夢や目標についてストーリーテリングされていることです。

ポートフォリオの記録を始めた時点で、自分の夢や目標について決まっている生徒はごく僅かでしょう。多くの生徒たちは、将来の進路を考える段階で、場合によってはポートフォリオを書くときになってようやく夢や目標が定まることもあります。ですので、ポートフォリオに記録を蓄積している最中は、「その記録を将来使うか否か」は本人にも分かりません。

スティーブ・ジョブズ氏は、2005年のスタンフォード大学の卒業式のスピーチで「点と点をつなげる(Connecting the dots)」ことの重要性について次のように述べています。

もちろん、当時は先々のために点と点をつなげる意識などありませんでした。しかし、いまふり返ると、将来役立つことを大学でしっかり学んでいたわけです。

繰り返しですが、将来をあらかじめ見据えて、点と点をつなぎあわせることなどできません。できるのは、後からつなぎ合わせることだけです。だから、我々はいまやっていることがいずれ人生のどこかでつながって実を結ぶだろうと信じるしかない。運命、カルマ…、何にせよ我々は何かを信じないとやっていけないのです。私はこのやり方で後悔したことはありません。むしろ、今になって大きな差をもたらしてくれたと思います。

スティーブ・ジョブズ氏の「Stay hungry, stay foolish」より引用

ジョブス氏の「点と点をつなげる」発想は、実はポートフォリオにも通じるものがあります。「ひとつひとつのの点」は「過去の体験やエビデンス(実績)」で、「つなげる」ことは「自分の物語を作る」ことです。「点と点をつなげる」ことができたポートフォリオは、魅力的で説得力のあるポートフォリオになるのです。

検索機能が最重要

魅力的で説得力のあるポートフォリオを書くためには、過去の大量のデータから「自分の物語」を構成する要素、つまり「点(=体験やエビデンス)」を探し出す必要があります。その際に最も重要になるのが、過去の大量のデータの検索機能です。

例えば、ある生徒が医学部を目指そうとした場合、まずは蓄積されたデータに対して「医療」「生命」「医者」「生物」「バイオ」「細胞」「細菌」「感染症」「コロナ」「怪我」などのキーワードで検索します。そこから抽出されるデータをひとつひとつ見直しながら、「医学部を目指す物語」を創造するのです。

教育学部志望の生徒の場合はどうでしょうか。同じように「先生」「教師」「教育」「教わる」「教える」「学校」どのキーワードでデータ検索をします。自分が教えたい教科が決まっていれば、もちろんそのキーワードでも検索します。そようにして、自分の志望理由について整理していくのです。

JAPAN e-Protfolio の認可取り消しによって、「何を使って記録させれば良いか」困惑している先生方も多いと思います。でも実は、そんなに難しく考えなくて大丈夫なのです。中学3年間、高校3年間のデータを蓄積できる容量があって、検索機能が備わっているサービスであればポートフォリオを書くのに困ることはありません。

「何を使って記録させれば良いか」に対する一番シンプルな回答は、実はブログです。ブログを書くことで文章力のトレーニングになりますし、何より検索機能が備わっています。そして無料で使うことができます。

同様の理由で「Facebookをポートフォリオとして使う」こともアリだと私は思っています。Facebookの検索機能は優れているので、私も自分自身がシェアした教育ニュースを調べるときに重宝しています。投稿日時もきちんと保証されるので、エビデンスとしても使えます。(Facebookは実名制なので、実はブログやTwitterよりも安全です。)

しかしながら現実問題、生徒がブログやFacebookでポートフォリオを蓄積するのは色々な反対があって難しいでしょう。そういう場合は、クローズドなクラウドサービスを利用しましょう。G SuiteのGoogleドライブにデータを保存したり、Office365のOnenoteで記録を蓄積させたりしましょう。どちらも優れた検索機能があります。G Suiteは完全無料で使えるのがポイントです。

もしeポートフォリオの予算が取れているのなら、OnenoteかEvernoteをお勧めします

Evernoteは学校現場ではマイナーですが、非常に優れた検索機能があります。Evernoteに保存されたPDF、Office 文書、画像、プレゼンテーション、スキャンした文書などの「中身の文章」を検索することが可能です。私も仕事で長年愛用してきました。もし大学生が就活用にポートフォリオ始めるのであれば、Evernoteをお勧めします。社会人になっても使えるツールです。