次回の読書会に向けて、クリステンセンの名著「イノベーションのジレンマ」を読み直しています。日本のイノベーションブームの火付け役として書籍名を耳にした人も多いのではないでしょうか。書籍のタイトル通り、この書籍はイノベーションの理論について一般人向けに丁寧に紹介されている本です。1995年にハーバードビジネスレビューに掲載された「The Innovator’s Dilemma」という論文がベースになっています。
書籍で扱っている事例こそビジネス(アメリカのハイテク企業)が中心ですが、そこから導かれるイノベーションの理論は様々な業界、もちろん教育業界にも応用することができます。「イノベーションのジレンマ」は、オンライン授業などの新しい教育がどのように教育業界にイノベーションを起こし得るのかを考えるのに最適な教科書と言えるでしょう。
書籍紹介
目次は以下の通りです。
- 序章
- 第一部 優良企業が失敗する理由
- 第一章 なぜ優良企業が失敗するのか -ハードディスク業界に見るその理由-
- 第二章 バリュー・ネットワークとイノベーションへの刺激
- 第三章 掘削機業界における破壊的イノベーション
- 第四章 登れるが、降りられない
- 第二部 破壊的イノベーションへの対応
- 第五章 破壊的技術それを求める顧客を持つ組織に任せる
- 第六章 組織の規模を市場の規模に合わせる
- 第七章 新しい成長市場を見出す
- 第八章 組織のできること、できないことを評価する方法
- 第九章 供給される性能、市場の需要、製品のライフサイクル
- 第十章 破壊的イノベーションのマネジメント-事例研究-
- 第十一章 イノベーションのジレンマ-まとめ-
「イノベーションのジレンマ」の日本語版は今から20年も前(2001年)に刊行された本ですが、そこで紹介されているイノベーションの理論は今でも色褪せていません。イノベーションの例として今では「ガラケー vs iPhone(スマホ)」がよく取り上げられますが、「イノベーションのジレンマ」はiPhone発売前に刊行されています。ちょっと感慨深いですね。
「イノベーションのジレンマ」を最初に読んだのは今から約10年前で、恥ずかしながら一読して十分に理解したつもりでいました。10年経った今、新規事業立ち上げや起業などの経験を踏まえて本書を読み直してみると、改めて深いところまで本書が記載されていたことに気づきます。
イノベーションの理論を「理解した気分」になるのは本の要約サイトを使えば十分ですが、自分の業界などに応用して考えるためには精読して人と対話することが重要です。教育業界のイノベーションを先読みしたい人は、ぜひ本書にチャレンジしてみてください。
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