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先生のための Weekly 教育ニュース(7/13〜7/19)

毎週月曜日は「先生のための Weekly 教育ニュース」というシリーズでブログを更新しています。Weekly 教育ニュースでは、先週1週間の間にあった教育ニュースの中で、「これはぜひ知っておいてほしい」というニュースをピックアップしています。科学カフェのFacebookページでは毎日様々な教育ニュースをシェアしていますが、その中でも特に重要な情報を紹介するコーナーになります。教育ニュースの情報収集にご活用ください。


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アメリカの留学生締め出し宣言を撤回

先週のWeekly教育ニュースで取り上げた「アメリカの留学生のビザ規制」の話題です。MITやハーバード大などの大学だけでなく、17州と首都もこの規制に反対して政府を提訴しました。その結果、方針発表からわずか1週間でアメリカ政府は方針を撤回しました。

留学生締め出しの規制がもし強行されていたら、日本にも大きな影響があったと思います。ことなきを得たので、まずは一安心ですね。

都立高校の校則、ツーブロック問題

髪型のツーブロックが都立高校の校則で禁止されている問題です。(どんな髪型か分からない人はこちらをご覧ください。)

ことの発端は、3月12日の都議会予算特別委員会で池川議員が「なぜ、校則でツーブロックが禁止されているのか?」と質問したことです。それに対して都の教育長が答弁する動画を、7月13日に池川議員がTwitterに投稿したところ、大きな反響があった、というニュースです。

上記のニュースが世間で話題になっていることを知った上で、教員として「正しい教育法規」をこの機会に理解しておきましょう。「髪型・服装規制」について教育法規便覧を調べてみると、次のような情報が手に入ります。

(1)髪型、服装は本来基本的人権に関わる事項であるが、学校においては、学校教育の目的を達成するため、あるいは学校内の秩序を維持するため、必要な限度内において規制を加えることができる。

(2)生徒の服装等について規制する拘束が中学校における教育に関連して定められたものである場合にはその内容が著しく不合理でない限り、校則は違法とはならない。校則に定めるいわゆる丸刈りの教育上の効果には多分に疑問の余地はあるが、丸刈りは必ずしも特異な髪型とは言えず、著しく不合理であると断定することができない。<昭和60年11月13日 熊本地裁>

令和2年度版 教育法規便覧 p505〜506

上記の情報と照らし合わせて考えてみると、都立高校のツーブロック禁止の論点は、「学校教育の目的を達成するため、あるいは学校内の秩序を維持するため、必要な限度内」の規制に該当するか否か、です。

都教育長の「ツーブロックが原因で事件や事故に遭うケースなどがございますため、生徒を守る趣旨から定めているもの」という主張は、社会通念から無理があると思います。東京地裁に提訴すれば、基本的人権の観点(髪型決定の自由)から生徒側が勝つだろうと私は思います。

ただし、これは都立高校という「公立学校」限定の話になります。私立学校では、次のような判例が過去にあるからです。

(4)高校生にふさわしい髪型を確保するためにパーマを禁止する事は、同校(東京・修徳高校)の教育目的実現に不必要な措置とは断言できず、そのような私立高校の独自の工夫と教育方針は私学教育の自由の内容として尊重される。また、この校則は、特定の髪型は強制するものではなく、髪型決定の自由を不当に制限するものとまでは言えない。<平成3年6月21日 東京地裁>

令和2年度版 教育法規便覧 p506

私立学校が「教育目的実現にツーブロック禁止は必要」ということを説明できれば、学校側が勝訴する可能性があります。裁判所が「髪型決定の自由を不当に制限する」と判断するか、「教育目的実現に必要な措置」と判断するか論点になるでしょう。どちらが勝つかは、実際に裁判になってみないと分かりません。

このように、公立学校と私立学校では事情が異なってきますので、教育法規を参照する際はご注意ください。なお、教育法規便覧は一冊持っておくと大変便利ですので、教員の方にはお勧めです。

高校普通科が3科に再編

文部科学省は、高校生の7割が在籍する高校普通科を再編し、文系・理系などの枠組みを超えた「学際融合学科(仮称)」と地域社会の課題解決を目指す「地域探究学科(同)」の2学科の新設を認める方針を固めた。17日に文科相の諮問機関である中央教育審議会の特別部会に基本方針を示す。1948年にできた普通科を再編して学科を新設するのは初めて。早ければ2022年春にも新しいタイプの高校が誕生する。

Yahoo!ニュース
 
【独自】高校普通科、3科に再編…「学際融合」「地域探究」の2学科新設容認(読売...
https://news.yahoo.co.jp/articles/ca203c2ca03f8306e6488f23b199dff9a73834a0
 文部科学省は、高校生の7割が在籍する高校普通科を再編し、文系・理系などの枠組みを超えた「学際融合学科(仮称)」と地域社会の課題解決を目指す「地域探究学科(同)」の2学科の新設を認める方針を固めた。

現在高校には、普通科と専門学科、総合学科の3種類があります。平成30年の統計によると、普通科が73.1%、総合学科が5.4%、専門学科のジョブ型(職業学科)が18.2%、その他の専門学科が3.3%です。

この高校生の7割が占める普通科を再編するということで、教育業界で話題になっています。ただし、詳細はまだ分かっていないため、期待や不安、憶測などが飛び交っている状態です。

不安感の原因は、1994年に制度化された「総合学科」の前例でしょう。総合学科の高校は、選択履修によって普通教育と専門教育を総合的に学べる学校です。制度化されて26年経ちましたが、総合学科は狙い通りの役割を果たせたかというと疑問が残ると思います。今回の普通科再編でも、同じ轍を踏まないか心配しています。

私個人としても期待3割、不安7割というところですが、引き続き動向を注視していきたいと思います。


コメント

  1. […] 今日紹介するのは、昨日のWeekly教育ニュースでも登場した「教育法規便覧」という書籍です。この本には、教育関連の法令や通知、指針、ガイドラインなどの要点が分かりやすく整理されており、教育法規について調べる時に大変重宝します。学校教育に重点を置いた章構成に加え、事項索引(キーワード検索)もついているため、使い勝手も良いです。教育法規の知識は、学校側と交渉したり、学校を変革したりする際の重要な後ろ盾になります。学校を変えていきたい先生にお勧めの一冊です。 […]