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先生のための Weekly 教育ニュース(7/6〜7/12)

これから毎週月曜日は「先生のための Weekly 教育ニュース」というシリーズでブログを更新していきたいと思います。Weekly 教育ニュースでは、先週1週間の間にあった教育ニュースの中で、「これはぜひ知っておいてほしい」というニュースをピックアップしていきたいと思います。科学カフェのFacebookページでは毎日様々な教育ニュースをシェアしていますが、その中で特に重要なものを紹介するコーナーになります。教育ニュースの情報収集にご活用ください。


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JAPAN e-Portfolioの運営許可取り消し

先週の一番大きなニュースはこちらになります。

(実質的に)ベネッセが開発・運営していたシステム「JAPAN e-Portfolio」に対して、文部科学省が運営許可を取り消す方向で調整していることが報道されたのです。

このシステムは、去年から一般社団法人の「教育情報管理機構」に運営が任され、今年度の入試から本格的に導入される予定でしたが、関係者によりますと、入試に利用する大学が少なく、財政上の安定が見込めないことなどから、文部科学省が運営許可を取り消す方向で調整していることがわかりました。

大学入試の新システム 運営許可取り消す方向で調整 文科省

このニュースには様々なポイント(切り口)がありますが、個人的に注目しているのは次の3点です。

  1. 今後、大学入試で e ポートフォリオが使われる機会が減ること
  2. 中学校・高校はベネッセの Classi の利用を継続すべきか
  3. 文部科学省とベネッセとの関係性

ひとつめのポイントは、大学入試で e ポートフォリオが使われる機会が減ってしまうことです。NHKの記事を読むと、e ポートフォリオを入試で利用する大学が少ないとありますが、JAPAN e-Portfolioの運営許可取り消しで完全に息の根が止まるのではないかと懸念しています。(今回は多くを論じませんが、大学側に「試験の点数よりもe ポートフォリオを重視する覚悟」が無かったのだと私は思っています。)

二つめのポイントは、ベネッセのサービスClassiについてです。Classiの強みのひとつがJAPAN e-Portfolioの連携だったので、今回のニュースを受けてClassiを使うのを止める学校が増えるかもしれません。(Classiを使っていない学校はスルーしてください。)

三つめのポイントは、文部科学省とベネッセとの関係についてです。民間企業の人間の立場からみていると、文部科学省の対応には眉を潜めてしまいます。もし私がベネッセの人間だったら、文部科学省関連の仕事はやりたくないと思うでしょう。既に昨年、こんなこと(共通テスト、文科省がベネッセに抗議へ「中立性に疑念」)も起こっています。

もし両者の間に確執ができてしまった場合、ベネッセは文部科学省をサポートしなくなるでしょう。そうなると、文部科学省が何か大きなことをしようとしても、民間企業のサポートを全く得られなくなります。例えば、こちら(【独自】オンライン学習、国が開発へ…作問から成績評価までの活用目指す)のシステム開発が頓挫するでしょう。教育業界への影響は大きいと思います。

ハーバード大とMIT、米政権を提訴

もうひとつ押さえておきたいニュースがこちらになります。ことの発端はこちらのニュースです。

オンライン授業しか受けられない留学生は帰国せよ。アメリカが新方針を発表

トランプ大統領の本心は、おそらく中国からの留学生を見据えてだと思うのですが、留学生の授業料を大きな収入源にしている大学にとっては大きな問題です。

そこで、資本力のあるハーバードとMITがアメリカ政府を提訴したわけです。

ハーバード大とMIT、米政権を提訴 留学ビザ規制差し止め請求

訴訟の結果次第では、日本からのアメリカ留学が今後どうなるのかも変わるため、海外大学進学者が多い学校の先生は注意しておくと良いでしょう。

このニュースの背景についてもっと知りたい方は、こちらの記事がお勧めです。

ハーバードやMITなど米名門大学vs.トランプ政権。留学生締め出しの思惑とは


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