待望のメジャーアップデートにより、ChatGPTに最新モデル「GPT-5」が搭載されました。これまで複数存在したモデルはGPT-5へと統合され、無料ユーザーにも開放されるなど、利便性が飛躍的に向上し大きな注目を集めています。
なかでも、私たち教育関係者が特に注目すべきは、新たに実装された通称「ソクラテスモード」と呼ばれる学習支援機能です。
ChatGPTのソクラテスモード(学習モード)
このモードは、ユーザーに即座に解答を提示するのではなく、古代ギリシャの哲学者ソクラテスが用いた「問答法(ソクラティック・メソッド)」のように、対話を通じて思考を促し、学習者が段階的に理解を深めることを支援します。無料プランを含むプランで利用可能なため、生徒が個人でアカウントを利用している学校現場でも、すぐに活用できる点が大きな利点です。
これまでもプロンプトを工夫すれば、AIを対話的な学習パートナーとして活用することは可能でした。しかし、ボタン一つでこのモードへ切り替えられるようになったことで、その利便性は格段に向上し、誰もが手軽にその恩恵を受けられるようになった点は画期的と言えるでしょう。

実際に、このモードで「三平方の定理を教えてください」と質問すると、AIは次のように応答します。
いいね、やってみよう。まず確認だけ。高校レベルの“相似”を使う定番の証明で一緒に進めてOK?(もし「面積で証明したい」「座標でやりたい」など希望があれば言ってね。)
このように、一方的に知識を教えるのではなく、問いを投げかけることで生徒自身の思考を喚起し、主体的な学びへと導くのです。
もちろん、生徒が安易にモードをオフにし、すぐに答えを求めてしまうという課題は残ります。ツールの使い方については、教員による適切な指導やルール作りが不可欠です。
しかし、AIが単なる「答えを出す検索ツール」から、生徒一人ひとりの「思考を深めるパートナー」へとその役割を変える可能性を示した点で、今回のアップデートは非常に意義深いものです。教育現場における生成AIの活用に、新たな一石を投じるものとなるでしょう。
授業で生成AIを取り入れている先生方は、ぜひ一度、生徒たちにこの新しい学習体験を促してみてはいかがでしょうか。