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【本紹介】学校の法律がこれ1冊でわかる教育法規便覧

今日紹介するのは、昨日のWeekly教育ニュースでも登場した「教育法規便覧」という書籍です。この本には、教育関連の法令や通知、指針、ガイドラインなどの要点が分かりやすく整理されており、教育法規について調べる時に大変重宝します。学校教育に重点を置いた章構成に加え、事項索引(キーワード検索)もついているため、使い勝手も良いです。教育法規の知識は、学校側と交渉したり、学校を変革したりする際の重要な後ろ盾になります。学校を変えていきたい先生にお勧めの一冊です。


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書籍紹介

目次は以下の通りです。

  • 教育法規をめぐる最近の動き
  • 教育法規のしくみと教育行財政に関する法規
  • 学校のしくみに関する法規
  • 教育課程に関する法規
  • 義務教育に関する法規
  • 教職員の資格と免許・職務に関する法規
  • 教職員の人事・服装・評価に関する法規
  • 教職員の勤務に関する法規
  • 児童・生徒に関する法規
  • 特別支援教育に関する法規
  • 学校保健安全に関する法規

教育法規便覧の使い方

論より証拠、実際に教育法規便覧を使って「気になる教育法規」を調べてみましょう。

例として「通知表(通信簿)」について調べてみると、次のように書かれています。

【法的な性格と内容】保護者に対して子供の学習指導の状況連絡し、家庭の理解や協力を求める目的で作成。法的な根拠は無し。

【作成主体】作成、様式、内容等は全て校長の裁量。自治体によっては校長会等で様式の参考例を作成している場合も。

P489より引用

とあります。つまり、通知表は校長の裁量で自由に変えられるのです。通知表をデジタル化したり、学力以外の評価を採用したり、通知表の回数を減らしたりすることが法律的に認められていることが分かります。

別の例もみてみましょう。「部活」について調べてみると、「学校の業務だが、必ずしも教師が担う必要のない業務」の箇所に次の記述がみつかります。

学校における働き方改革特別部会(平成29 8/29)資料1による文科省の解釈では、部活動の実施を義務付ける法的根拠は特別にないとされている。

P460より引用

「時間外勤務」についても調べてみると、次のようにあります。

(1)公立学校の教育職員を正規の勤務時間を超えて勤務させる場合は、政令で定める基準に従い条例で定める場合に限るものとする。

(2)政令で定められている事項は、臨時又は緊急のやむを得ない必要があるときに限り次の4項目である(=歯止め<超勤>四項目)。

①校外実習その他生徒の実習に関する業務

②修学旅行その他学校の行事に関する業務

③職員会議(設置者の定めるところにより学校に置かれるものを言う。)に関する業務

④非常災害の場合、児童又は生徒の指導に関し研究の措置を必要とする場合その他やむを得ない場合に必要な業務

P394〜395より引用

つまり、この2つの教育法規を知っていれば、「勤務時間外の部活指導は、教師が断れる業務なんだ」ということが分かるわけです。

多くの先生はあまり自覚していませんが、学校は教育法規で成り立っている場所なのです。教育法規の知識は、学校と交渉したり、学校を変革したりする際の後ろ盾になってくれます。教育法規便覧、おすすめの一冊です。