先日、ある知人から「文章力を鍛えるお勧めの方法」について質問をもらいました。私もこれまで色々試してきましたが、一番効果があったのが「ブログや日記を毎日書くこと」です。ただ、知人は「ブログを毎日書く」ために「文章力をトレーニングする方法」を質問したわけなので、これでは問題が解決しません。
ネットで「文章力」「トレーニング」と検索してみると、「文章力を鍛えてから書こうとしていたら、いつまでたってもブログを始められない」というアドバイスを見かけます。全くもってその通りなのですが、いきなり「今日からブログを書きましょう」といわれて書き始められるのなら、そもそもアドバイスを求めませんよね。最初は私も自分の文章に自信が持てなかったので、気持ちはよく分かります。そこで今日は、文章に自信がない人のためのトレーニング方法を紹介したいと思います。
写経トレーニング
「自分の文章に自信が持てない人」におすすめのトレーニング方法は、文章の写経です。ただし、写経といっても「仏教のお経」を書き写すのではなく、「自分の好きな書籍」を書き写すトレーニングです。
文章を書き写す際の方法は、自分のノートに書き込む方法でも、パソコンのワープロソフトにタイピングする方法でも、どちらでも大丈夫です。大事なのは「文章を書く」という作業を模倣することです。
最初にこのトレーニング方法をメンターから教わったときは、正直何の意味があるのか私もよく理解できませんでした。ですが、毎日コツコツと写経を続けてみると、それまで気づかなかった文章の構成や、著者の息づかいのようなものを感じ取れるようになったのです。「文章を書く」という行為の理解が、写経をすることで一段深くなったのだと思います。
写経に使う本は「自分の好きな書籍」で大丈夫です。自分が憧れている文体の作家や、興味のあるジャンルの書籍を一冊選ぶと良いでしょう。ちなみに私は、サイエンスライターであるサイモン・シンの「宇宙創成」を写経しました。宇宙について分かりやすく伝えられる文章を書けるようになりたかったからです。もう6年ぐらい前のことですね、懐かしいです。
この写経トレーニングは、3つの点で理にかなっています。1つめのポイントは、トレーニングのハードルが低い点です。好きな文章を書き写すだけなので、やる気さえあれば誰でもすぐに始められます。
2つめのポイントは、「守・破・離」の「守」の原則に則っている点です。「守・破・離」とは、日本の武道や武芸における修行の型を示したもので、「守」とは師匠から教わった型を徹底的に「守る」段階です。自分が書けるようになりたいお手本の文章を写経することで、文章の型を自然と身に付けられます。
3つめのポイントは、「文章を書く習慣」を身に付けやすい点です。毎日続ける最大のコツは、習慣化することです。いきなりブログを毎日書き続けることは大変ですが、ハードルの低い写経トレーニングを習慣にすることは比較的簡単です。そして写経トレーニングで文章を毎日書く習慣が身についたら、写経トレーニングから「ブログを書くこと」に移行すれば良いのです。
写経トレーニングを数週間続けていると、自分でも驚くほどに「文章を書くこと」に慣れてきます。自分の文章に自信が持てない人は、まずは写経トレーニングから始めてみてはいかがでしょうか。
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