プログラミング教育と脱工業化社会(3)小・中・高の必修化のポイント

(承前)プログラミング教育が必修化された背景には、第4次産業革命とIT人材不足があります。前回は第4次産業革命後の「私たちの生活の変化」についてIoT(Internet of Things, モノのインターネット)を例に挙げて紹介しました。このような時代の変化を踏まえて、プログラミング教育の”Know Why(なぜするのか)”を考えていきたいのですが、その前に小・中・高のプログラミング教育必修化のポイントをおさらいしておきたいと思います。


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小学校の必修化のポイント

小学校のプログラミング教育が必修化されるのは2020年4月からになります。必修化で一番誤解されやすい点は、「プログラミング」という科目が追加されるわけではない点ですね。国語・算数・理科・社会などの授業の中で、プログラミングを用いた学習活動が新たに追加されるイメージです。

そして重要なポイントは、プログラムを作る技術を身に付けることが目的では無く、プログラミング的思考を身に付けることが目的であることです。小学校ではプログラミングの技術よりも、考え方そのものに重きが置かれているのです。(文部科学省のいうプログラミング的思考については、次回以降に取り扱っていきます。)

中学校の必修化のポイント

新しい学習指導要領が中学校で全面実施されるのは2021年4月からです。この時の中学三年生、つまり今度の新中学二年生から下が対象になります。小学校と違って中学では技術・家庭科の科目の中に、プログラミング教育が含まれています。こちらの学習内容が時代に合わせて改定され、プログラミングや情報セキュリティに関する内容が倍増されたことが大きな変化になります。

高校の必修化のポイント

新しい学習指導要領が高校で実施されるのは2022年4月からです。ただし、学年進行で適応されるため、2022年4月の高校一年生からが対象で、高校二年生と三年生は対象外になります。2022年4月の高校一年生、つまり今度の新中学二年生から下が対象になるのです(中学の全面実施される学年と一緒ですね)。

高校でのプログラミング教育は情報という科目で行われています。大きな変更点としては、選択科目だった情報が「必修科目の情報Ⅰ」と「選択科目の情報Ⅱ」に修正されたことです。そして必修科目の情報Ⅰにはプログラミング教育が含まれているため、生徒全員が高校でプログラミングを勉強することが義務付けられました。

以上が、小学校・中学校・高校におけるプログラミング教育必修化のポイントです。こちらを踏まえた上で、次回は「文部科学省が語る”Know Why(なぜプログラミング教育をするのか)”」を見ていきたいと思います。