(承前)2月16日(日)に開催された第4回新中学入試セミナーの開催レポート(9)です。新タイプ入試とPBLをテーマにしたパネルディスカッションの続きです。パネリストは聖学院の児浦良裕先生に工学院の田中歩先生、和洋九段女子の新井誠司先生、そして首都圏模試センターの北一成先生です。パネリストの先生方が新タイプ入試について一通りお話をされた後は、和洋九段女子のZ世代の生徒たちを交えてPBLをテーマにした対話が始まりました。
PBLをきっかけに生徒が変容
今回の第4回新中学入試セミナーでは、和洋九段女子の生徒たちがSDGsスゴロクという素晴らしいワークショップを披露してくれました。生徒たちのSDGsに対する想いや活動に、多くの方は驚かれたことでしょう。最初の生徒たちに対する質問は「PBL型授業によって自分自身どのように変容したと思いますか?」という内容でした。生徒たちの答えはとても興味深かったです。
- 自分の視野が広がって、発信力が身についたと思います 。
- 発言をするのに、いちいち手をあげる文化からクラスが変わりました。
- 最初から相手の意見を否定して捉えないようになりました。
- PBLでは否定されないことが前提にあるので、素直に意見を言えるようになりました。
- 私は自分の意見がある方だけど、大勢の前だと苦手でした。でもPBLによって、それができるようになったと思います。
- PBLは根拠が無いと周りを動かせないので、それが出来るようになったと思います。
和洋九段女子の新井教頭は次のように言います。「 最初から相手の意見を否定しないよう生徒には行っています。勇気を持って発言したことに対して、それはないと思いますから。自分と意見が違うだけなんです。本校のPBL型授業では、意見を言ってくれた相手に”ありがとう”で拍手するようにしています。もちろんクリティカル(批判的思考)な意見は尊重しています。」
和洋九段女子のPBLの話を受けて、児浦先生からは聖学院のPBLについて、田中先生からは工学院のPBLについてお話がありました。首都圏模試センターの北先生からは、「思考力入試で入学した生徒は自己肯定感が強い傾向がありますね」と、新タイプ入試とPBLの関係についても指摘がありました。
また、対話の最中に「PBLのPは皆さんにとって何を意味していますか?」と田中先生から突然の質問があると、和洋九段女子の生徒たちは自分の意見とその理由をしっかりと答えていました。
- 私にとってはプログラムです。計画すること、そしてそれを伝えることだからです。
- 問題を意味するプロブレムだと思います。PBLは最初にトリガークエッションの問題から考えるからです。
- 私はプラクティスだと思っています。自分で考えて、グループに共有して、作り上げる。PBLは小さな世界。大人になってからの練習をしていると思います。
(続く)
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