Society5.0は脱工業化社会(4)

(承前)繰り返しになりますが、「工業化社会の考え方」は間違っていて「脱工業化社会の考え方」が正しい、ということではありません。その時代にマッチする考え方と、その時代にマッチしない考え方があるだけです。そして残念ながら、今の学校制度の大部分は時代にマッチしなくなっているのです。

これからの時代にマッチする教育とは一体どんな教育なのでしょうか。それを考えるためにも、まずは「脱工業化社会がどのような社会なのか」を見ていきましょう。


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脱工業化社会は個別最適化された社会

脱工業化社会は、個別最適化された社会です。工業化社会が「一定の品質の商品やサービス」を生産していく社会なのに対して、脱工業化社会では「個別最適化された商品やサービス」を生産していく社会となります。工業化社会が生産する商品やサービスは、時間が経つにつれて日用品化していくため、低価格化していきます。そうなると人件費が安くて人口が多い国が有利となります。日本はここでは勝負できません。

日本が勝負できるものは、個別最適化された商品やサービスです。多少値段が高くなって作るのに時間がかかっても、一人ひとりの好みやフィットする商品・サービスです。この分野であれば、ロボットや人工知能によって仕事が奪われることもありません。言い換えると、ロボットや人工知能が仕事を奪うにはコストがペイしないようなニッチな商品・サービスこそが主役になるということです。

もちろんSociety5.0が象徴するようなIoT(モノのインターネット)やドローンビジネス、VR・AR産業などは発展していくでしょう。でも、これらの市場はGAFAなどの一部の大企業によって寡占が進むでしょう。日本の多くの子供たちが就職する中小企業(2014年の中小企業庁の調査では労働者の70.1%が中小企業に勤務)は、やはりニッチなマーケットが主戦場になると思います。

コラボレーションが大事な社会

個別最適化された社会における中小企業の生き残り戦略は、コラボレーションです。異質なもの同士を組み合わせることで、新しい価値を生み出すことです。この組み合わせが異質であればあるほど、その企業や個人はロボット・人工知能・大企業などの参入から身を守ることができます。

例えば、レキシ(池田貴史氏)というミュージシャンがいます。彼は「日本の歴史×J-Pop」のコラボレーションによって、ニッチながらも熱狂的なファンの獲得に成功しています。

大手ミュージシャンやレコード会社は、「日本の歴史×J-Pop」の分野に参入するでしょうか。おそらく、参入することはないでしょう。なぜなら、「日本の歴史×J-Pop」に参入することで得られるメリット(新しいファンや売上)よりも、参入するコスト(楽曲を作るコスト)やリスク(イメージダウン)の方が大きいと思われるからです。このようなロジックで、ニッチな市場は守られているわけです。

さて、今回は「脱工業化社会がどのような社会になるか」をみてきました。このような新しい時代を迎えるにあたって、子供たちが幸せに生きるためには どのような教育が求められるのでしょうか。次回は、脱工業化社会の教育について考えていきたいと思います。(続く)