連日、Zoomを使って学校の先生と打ち合わせをしています。学校現場は本当に大変で、この連休も仕事に追われて働く先生も多いと思います。にわかに世間では「9月入学」が話題になっていますが、私がサポート校の先生にアドバイスしているのは「9月入学よりも最悪の事態を想定してください」ということです。最悪の事態、それは「今年度いっぱい対面授業を全く実施できないこと」です。
最悪の事態を想定しよう
正直に言うと、今の段階で9月に学校が再開できる根拠は無いと思うのですが、その議論は置いておきましょう。
有事の際に大事なのは、最悪の事態を想定して備えておくことです。備えるだけ備えておいて、もし9月に学校が再開できることになったら、「良かった、杞憂だったね。最悪にならなくて本当に良かったね!」と笑い飛ばせは良いのです。最悪なのは、最悪の事態を想定せずに最悪の事態を迎えることです。
新型コロナウイルスのワクチンが開発されるまでは、1年〜1年半だと言われています。ですので、まずは「今年度いっぱい対面授業を全く実施できないこと」に備えて準備を進めていきましょう。
いざ「最悪の事態」を想定して考えてみると、様々な問題が出てきます。学校によって課題は様々ですが、例えば私立中学校なら中学受験や学校説明会をどうするのかを考えておく必要があるでしょう。
ただ、どの学校も共通の課題は、「子供の命」を守りながら、「学びの保障」と「メンタルの保障」に全力を尽くすことです。そのためには、オンライン教育の環境整備が必要不可欠です。
オンライン教育の環境整備
学校がオンライン教育を実施するには、「生徒に公式クラウドIDを付与すること」「学習用のデバイスを用意すること」「Wi-Fiなどの通信環境の整備」の3つが必要です。
公式クラウドIDを生徒に付与することは、どの学校でも努力をすれば可能です。しかし、学習用のデバイスと通信環境を生徒全員に揃えてあげるのは、正直難しい学校もあると思います。どちらも予算が必要ですし、予算があっても商品が手に入らない地域も存在するからです。
生徒全員にオンライン教育を出来ないなら、オンライン教育を整備する意味がないと思うかもしれませんが、そんなことはありません。
おそらく学校の何割かの生徒は、家庭にデバイス(スマホやPC、タブレット)とWi-Fi環境を持っていると思います。それらの生徒たちにはオンライン教育を行います。そしてオンライン教育を受けられない生徒たちには、学校で授業を受ける選択肢を与えてあげるのです。
もちろん、通学をする生徒たちの安全には、細心の注意が必要です。マスク着用、授業前後のうがい手洗い、教室ではソーシャルディスタンスを保つ、などなど。生徒全員が通学したら不可能な案ですが、オンライン教育とのハイブリッドなら通学する生徒の人数を抑えられるので、対応できる可能性があります。
上記はあくまで一案ですが、公式クラウドIDを作っておけば選択肢が増えることは間違いありません。最悪の事態を想定するのであれば、「公式クラウドIDを生徒に付与すること」をお勧めします。
お勧めのクラウドサービス
オンライン教育で役立つクラウドサービスはたくさんあります。GoogleのG SuiteやMicrosoftのOffice365、ロイロノート、Classi、Edmodoなどが有名ですね。
どのクラウドサービスを使うかは学校判断によりますが、個人的に一番お勧めしているのはGoogleのG Suite for Educationです。お勧め理由は次の5つです。
- 全てのサービスが無料で使える
- 教員・生徒・保護者にメールアドレスを発行できる
- Googleクラスルームというプラットフォームが使える
- Google Meetというビデオ会議ツールが使える
- どのデバイス(PC・スマホ・タブレット)からでも利用できる
ただし、G Suiteを導入するための準備はちょっと大変です。そこで次回から、学校がG Suite を導入するためのノウハウを発信していきたいと思います。予算が無くても導入できるクラウドサービスなので、生徒の公式クラウドIDをまだ用意していない学校は検討してみてください。
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