ChatGPTに関する世論調査で、ChatGPTを教育現場やビジネスなどで「活用すべき」と答えた人が67%にのぼることが報道されました。これはなかなか驚くべき数字です。イノベーター理論でいうところのレイトマジョリティの半数までChatGPTが普及しており、まさに「ルビコン川を渡った」と言えるでしょう。
イノベーター理論とChatGPT
イノベーター理論では、新商品を購入するタイミングの違いによって、消費者を次の5つに分類して考えます。
「イノベーター(2.5%)」は、商品を最も早く購入するユーザーです。新し物好きで新商品には真っ先に飛びつく人たちです。
「アーリーアダプター(13.5%)」は、イノベーターほど積極的ではないですが、流行には敏感なユーザーです。発信力があって市場への影響力が大きい層です。
「アーリーマジョリティ(34%)」は、新商品の購入には慎重だが、アーリーアダプターの影響を受けて比較的早く購入にいたるユーザーです。
「レイトマジョリティ(34%)」は、新商品に対してはかなり懐疑的で、自分の周囲の大半が使っているのをみてから購入するユーザーです。
そして「ラガード(16%)」は、ユーザーの中で最も保守的な人たちで、ほとんど最後まで購入にいたらないような層です。スマホの例で言うと、最後までガラケーを使っているような人たちです。
アーリーアダプターとアーリーマジョリティのあいだには大きな溝「キャズム」が存在しています。キャズム理論によると、新しい商品やサービスが市場に普及するかどうかは、イノベーターとアーリーアダプターを越えてアーリーマジョリティまで浸透するかが鍵となります。
ChatGPTに関する世論調査では、「活用すべき」と答えた人が67%にのぼりました。この数字は、イノベーター(2.5%)とアーリーアダプター(13.5%)、アーリーマジョリティ(34%)、そしてレイトマジョリティの半数(34%×1/2)を足し合わせた数に一致します。ChatGPTは既にキャズムを超えて広がっていることが分かりますね。
先月、東京大学はChatGPTをはじめとする生成型AIに関する見解を発表し、「人類はこの数ヶ月でもうすでにルビコン川を渡ってしまったのかもしれない」というコメントが飛び出しました。67%という驚くべき数字を目の当たりにし、その発言の正しさを改めて実感できます。
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