今日紹介するのは、教師の働き方改革についての書籍です。文部科学省の「#教師のバトン」プロジェクトがTwitterで炎上していますが、その多くは「学校の課題を解決して欲しい」「大変な教員の労働環境を改善して欲しい」といった内容でした。今日紹介する本は、こうした現場の悩みを解決するための手助けとなる本です。ブラックな労働環境に悩んでいる教員はもちろんのこと、勤務校をよくしたい管理職の先生方にもおすすめの一冊です。
書籍紹介
目次は以下の通りです。
- 第1章 働き方改革は絶対に進む
なぜいま働き方改革なのか?
教師の働き方はなぜ特殊なのか?
ブラック残業で、校長が言い逃れできなくなった裁判例
社会はどんどん変わっている - 第2章 ブラック残業はなくせる! 現場で進む改革!
ブラック残業はなくせる!
横浜市が始めた働き方改革プラン
ある小学校の大胆な改革
部活動の改革 - 第3章 あなたが現場でできること
調査の回答は手を抜こう!
書類づくりは間違えても問題ない??
計画的に仕事をするには?
心にやましくなく断れる理由で断る
部活を縮小していこう!
部活に力を入れたい人のために
校長のありかたで現場は変わる - 第4章 多忙感をなくすための冴えたやり方
多忙感はなぜ生まれるのか?
多忙感の原因はなにか?
多忙感に効く合同『学び合い』とは?
教員同士がラクに協働できる方法
子どもたちの関係性も変わる
受験対策にも有効!
小規模校にこそ効く!
カリキュラム・マネジメント
この本の大きな特徴として、理論(法令の知識)と実践(事例等)がしっかり書かれていることです。
「第1章 働き方改革は絶対に進む」では、学校における働き方改革が始まった背景のデータと、教員の仕事を定めている基本的な法令について分かりやすく紹介されています。「法令で定められている仕事」と「法令で定められていない仕事(=ボランティア)」をくっきり分けて理解することが、働き方改革の第一歩です。
「第2章 ブラック残業はなくせる! 現場で進む改革!」では、自治体が既に実践している先進的な取り組みが紹介されています。横浜市の事例では、研修・書類作成・テレワークシステム・フレックスタイム制度・留守番電話導入・部活動休養日が紹介されています。また、大分大学附属小学校の事例では、職員会議の廃止・教頭業務を整理分担・職員の連絡先を非公開・午後7時完全退庁・土日祝日完全閉庁、公開研究の停止が紹介されています。非常に豊富な事例で、多くのヒントが得られるでしょう。
そして「第3章 あなたが現場でできること」では、教員がいち個人として取り組める対応策について紹介されています。具体的には書類作成業務の効率化、そして部活動縮小のためにできることが書かれています。後者の取り組みについてはハードルを感じる教員も多いと思いますが、前者の書類仕事に関する部分は多くの先生方の参考になると思います。
最後に「第4章 多忙感をなくすための冴えたやり方」では、著者である上越教育大学大学院の西川純教授が提唱する『学び合い』授業を用いた働き方改革について紹介されています。『学び合い』授業については、findアクティブラーナーというサイトで実際の授業の様子を視聴できますので、興味のある方は覗いてみてください。