Home » 教育者向けの記事 » ICTの記事 » 生徒のパスワードリセットの自動化よりも「ICTの日常化」を目指そう

生徒のパスワードリセットの自動化よりも「ICTの日常化」を目指そう

先日GoogleのG Suite(Google Workspace)を導入している学校向けに、生徒のパスワードリセットの手順についてブログを書いたところ、サポート校の先生から「パスワードを忘れてしまった生徒が続出してリセットが追いつきません。パスワードリセットを自動化する方法はないですか?」と相談を受けました。

結論から言うと、18 歳未満の Google Workspace for Education ユーザー(生徒)は、再設定用の電話番号やメールアドレスをアカウントに追加することがGoogleによって許可されていません。ICT担当の先生は、生徒のパスワードリセットを自動化する方法を考えるのではなく、学校のICTの日常化を目指すことで問題を解決していきましょう。


【スポンサードリンク】

Googleのパスワードリセットの規約

一般的にGoogleアカウントは、パスワードを忘れた場合でも、事前に電話番号やメールアドレスを登録しておくことで自力でパスワードリセットを行うことが可能です。

GoogleのクラウドサービスG Suite(Google Workspace)もその機能を有しているのですが、残念ながら規約として18 歳未満のユーザーはこの機能を使うことが許されていません。

パスワードの再設定の機能を利用できないケース

18 歳未満の Google Workspace for Education ユーザー 

18 歳未満の Google Workspace for Education ユーザーは、再設定用の電話番号やメールアドレスをアカウントに追加することが許可されていません。このようなユーザーがパスワードを忘れた場合は、自分で再設定を行うことはできません。

注: 初等または中等教育機関用アカウントを使用するユーザーは年齢にかかわらず、再設定用の電話番号やメールアドレスを追加できません。こうした種類のアカウントでは、電話番号やメールアドレスを追加する項目が表示されません。

Google Workspace for Education を利用している、高等教育機関用アカウントのユーザー、管理者、教職員は、再設定用の電話番号やメールアドレスを追加できます。

Google Workspace管理者ヘルプ「ユーザーのパスワードの再設定方法を設定する」

「ICTの日常化」こそが「やらかし期」の出口

4月から本格的に1人1台ICT端末を導入される学校が多いでしょう。導入初期のICTに対する期待感・ワクワク感が薄れると、学校内でトラブルが噴出する「やらかし期」に突入します。

ICT導入の【わくわく期・やらかし期・安定期】これらは新しいテクノロジーが学校での位置付けを得る過程です。ICTは色のついていないパワーそのものなので、何を何処にどのくらい適用するか、については、結局誰かが決めなければいけません。

わくわく期(導入2週間)は、新奇効果と期待効果が高まる時期。これらはいずれ消失しますが、気分を盛り上げてくれるので、スタートダッシュを容易にします。開封の儀などのセレモニーは子どもたちにとっても強い印象を残すでしょう。

やらかし期(導入3ヶ月)は、テクノロジーの位置付けをめぐって冒険と挑戦が繰り返される時期。様々な試みは生活指導上の課題として噴出します。これらに慌てて禁止や抑制に走るか、それとも、課題を活きた教材に出来るかが問われます。

安定期(導入3ヶ月以降)は、噴出した課題が収まり、学校での位置付けがほぼ確定する時期。もはやICTに過大な期待はなく、日常利用が定着するか、それとも、死蔵・文鎮化するか、が決まります。


国際大学グローバルコミュニケーションセンターの豊福晋平准教授のFacebook投稿より引用

アカウントのパスワード忘れは、上記のわくわく期・やらかし期に頻発するトラブルのひとつです。仮に「パスワードリセットの自動化」が出来たとしても、解決できるのは「生徒のパスワード忘れ」だけです。

それよりも効果が高いのが、1日にも早く安定期に移行するよう学校側で努力することです。生徒のICTの使用頻度が増えて、ICTが本当の意味で日常化さえすれば、パスワード忘れなどのトラブルは激減します。なぜなら、普段からICTを使っているため技術的な習熟度は高くなり、先生・生徒共にICTの効果を実感できるからです。

ICT担当の先生は、噴出するトラブルに惑わされずに、「ICTの日常化」というトンネルの出口を目指して進んでいきましょう!