最近導入されたChatGPTの新機能「GPTs」を活用し、文部科学省の学校向け衛生管理マニュアルに基づいたQ&A形式のチャットボットを開発してみました。開発作業はわずか15分で完了し、プログラミングの知識は一切必要ありませんでした。私はエンジニア出身ですが、特定分野に最適化された生成AI(GPTs)をこれほど迅速かつ容易に開発できることに驚きを感じています。
開発したGTPSは、学校や会社などの組織で共有できるだけでなく、11月末にオープンされる公式ストアでアプリのように販売することができます。このプラットフォームにより、多くの職場で生成AIが一気に広がっていくことでしょう。同時に、生成AIを使いこなす人と使えない人とで、大きな格差が生じる社会の到来を予感しています。AI教育の必要性を強く感じています。
学校向け衛生管理マニュアルQ&Aチャットボット
今回開発したGPTsはこちらになります。一般公開しているので、有料版ChatGPTに加入している方はどなたでもお試しできます。
https://chat.openai.com/g/g-XJYVd9wYg-xue-xiao-xiang-kewei-sheng-guan-li-maniyuaruq-a
こちらのチャットボットは、文部科学省から公表されている「学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル(2023.5.8~)」を学習させ、その内容に基づいて返答するシンプルな仕組みになっています。
GPTs Builderを使って標準的な方法で作成したので、手順については割愛します。アイコンも自動で作成されます。開発で工夫した点は、ハルシネーション(AIの嘘)対策に「マニュアルに記載されていない情報については、『マニュアルには記載されていない』と明示します」としたことと、「Web Browsing」の機能をオフにしたことです。
デモ
GPTsのデモ画面です。
https://chat.openai.com/share/3714d0b4-670a-4972-9ca5-d7818489b171
教育現場の3つの変化
GPTsの登場により、教育業界では3つの大きな変化が予想されます。
- 教員の業務効率化の促進: 先に挙げたQ&Aチャットボットの事例からも分かるように、例えば校務マニュアルに基づいたGPTsを開発すれば、教員の質問対応の負担が軽減されます。GPTsはプログラミング知識を必要としないで開発できるため、これを活用できる教員がいる学校ではGPTsの開発・導入が進み、業務改革が大幅に進展すると予想されます。
- 学校間の業務効率格差の拡大: 生成AIによる業務の効率化は、ICTやデジタルトランスフォーメーション(DX)と同様の影響を与えると考えられます。生成AIを積極的に業務に取り入れる学校とそうでない学校との間で、業務効率において大きな格差が生じることが予想されます。
- 家庭教師AIの台頭: 生成AIの弱点であるハルシネーションのリスクは、専門知識を事前に学習させることで大幅に軽減できます。近い将来、家庭教師に特化した多様な生成AIが登場し、学生たちはこれらを活用して学習する新たな時代に突入します。家庭教師AIは、現在の動画学習と並び、Edtechの学習コンテンツとして重要な役割を果たすでしょう。
この変化に学校が乗り遅れないためには、教員が最新の技術を活用できる環境の整備が不可欠です。具体的には、現時点で利用可能な有料版ChatGPTなどの先進的なAIツールを教員に提供し、AIの活用を牽引する人材を積極的に育成することが求められます。実際、グローバルなビジネス界ではGPTsの登場が新しい波を引き起こしており、有料版ChatGPTへの新規申し込みが殺到して一時的に新規登録を停止する事態に至っています。このような状況からも、日本、特に教育業界が生成AIによる新たな産業革命の波に乗り遅れないよう、迅速かつ的確な対応が求められています。
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