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【論文紹介】高校での探究経験と大学での成長に関係性

今日はおすすめの記事・論文紹介です。先日、「高校での探究経験と大学での成長は関係性が高い」という記事を拝見しました。大阪大学の入試広報・入試開発部部長である山下仁司教授の論文を紹介した記事です。高校での探求経験の成果を扱った論文ということで、大変興味深く読ませてもらいました。


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多面的・総合的入学者選抜の効果検証

こちらがその記事になります。

――2022年度から高校で「総合的な探究の時間」が始まりました。大阪大学は、高校時代に探究学習の経験があるかどうかと入学後の学生の成長との関係を、入試区分ごとに追跡調査しています。

中略

教員には、当該学生の「授業や研究などへの積極性」「研究の各プロセスにおける主体性・自立性」「周囲への影響度」などをいくつかの項目を立てて尋ねました。そして学生を「AO・推薦で探究経験あり」「AO・推薦で探究経験なし」「一般入試で探究経験あり」「一般入試で探究経験なし」の4グループに分けて分析しました。

その結果、授業や研究などへの積極性では、文系、理系とも、AO・推薦で探究経験ありの学生が「討議や演習、実験などの授業への参加」「ゼミ・研究への取り組み」などの項目で教員評価が最も高くなりました。研究の主体性・自立性や周囲への影響度については、理系で差が顕著で、AO・推薦で探究経験ありの学生が「わからないことがあっても粘り強く考える」「仮説通りに実験や調査がうまくいかなくても、あきらめずに取り組む」「研究室やゼミを活性化してくれる」などの項目で教員評価が最も高くなりました。

記事1ページ目にある「研究における主体性・自立性」と「周囲への影響度」のグラフが大変印象的ですね。理系では特に「AO・推薦で探究経験あり」グループが突出して高い評価を出しているのが分かります。

4年間のGPA(成績評価)においても、文系、理系ともAO・推薦で探究ありの学生が最も高くなっている点も注目です。入学時点でセンター試験の点数に差がなかったことからも、高校での探究経験が大学での成績の伸びに影響を与えている可能性は高そうですね。

高校での探究経験が生徒たちの学力や主体性に与える影響は、学術的にはまだ明らかになっていません。こうした研究によって探究活動の教育効果が明確になれば、小学校・中学校・高校での教育もよりよくなるでしょう。今後の研究にも期待しています。

山下仁司教授の論文(PIは山下仁司氏)は大学入試センターのホームページからダウンロードできますので、興味のある人はぜひ読んでみてください。