先日、オンライン授業を実施しようとした学校で通信トラブルが発生し、授業ができなかったというニュースが報道されました。オンライン授業やハイブリッド授業を実施するうえで、ネットなどの通信トラブルへの備えは重要です。今日はオンライン授業の通信トラブルへの備えについてお話しします。
通信トラブルが起こる要因
オンライン授業に関わる通信トラブルの要因は、大きく3つあります。「(先生が接続する)校内WiFiの負荷」と「学習ポータルサイト等の負荷」、そして「先生のICT習熟度の不足」です。
「(先生が接続する)校内WiFiの負荷」については、どこの学校でも潜在的リスクがあります。普段から生徒1人1台でICTを活用している学校は、オンライン授業でネットワークの負荷が通常事業時よりも高くなることはまずないため、基本的には大丈夫でしょう。
日常的にWi-Fiをフル活用していない学校では、念のため通信障害に備えておくと良いでしょう。おすすめの対策は(1)モバイルWi-Fiを用意する(2)スマホなどでテザリングできるようにする、です。基本的な考え方は、校内Wi-Fiがインターネットに接続できなくなった時のために、バックアップ用の回線を用意しておくことです。
モバイルWi-Fiの候補としては、例えばこちらのブログで紹介したようなサービスがあります。
スマホでのテザリングは、特別な契約やセットアップが必要なため、多少ハードルが高いです。モバイルWi-Fiの方が学校として用意しやすいですので、スマホのテザリングを使用する手段は、先生が個人で行うバックアップ手段だと考えましょう。基本的にはモバイルWi-Fiの方をお勧めします。
続いて「学習ポータルサイト等の負荷」についてです。こちらはZoomやMeet、teamsなどのビデオ会議システムや、そのほかの学習ポータルサイトなどにアクセスが集中してサーバー(クラウド)が落ちてしまう現象になります。
大前提として、GoogleやMicrosoft、Zoomなどの海外の大企業のサービスば、通信障害のリスクはかなり小さいと言えます。つい最近、「Teamsを使っていて通信障害があった」という話も聞きましたが、その原因はteamsではなく校内Wi-Fiが原因でしょう。万が一GoogleやMicrosoft、Zoomのサービスで通信障害が起こったとしても短時間で復旧するため、これらを利用している学校はリスクは高くないでしょう。
割と耳にするのが、日本企業が運営している学習ポータルサイトでの通信障害です。こちらは昨年の一斉休校でベネッセのClassiが通信障害となったケースと同じで、企業が想定していたアクセス数を越えたことによるキャパオーバーです。正直、運営企業がサーバー増強などをするしか方法がないため、学校ができる対策は少ないです。お勧めの対策案としては、メインの学習ポータルサイトが使えなくなった時のためにGoogleやMicrosoft、Zoomなどのサービスを用意しておくことでしょう。
最後は「先生のICT習熟度の不足」です。これは正確には通信障害ではないのですが、現場ではよく通信障害と間違われるため挙げさせてもらいました。例を挙げると、Zoomやteamsなどのビデオ会議システムの操作に慣れておらず、途中で生徒が離脱してしまったり合流できなかったりするような状況です。
これに対する対策は2つあります。ひとつめは正攻法としてICT教員研修を行うこと。そして二つ目は、オンライン授業に慣れている先生と二人ペアで授業を行うことです。いわゆるOJT研修ですね。ベストはICT研修とペア授業をしつつ、慣れてきたら1人でオンライン授業を行うこと。そしてICT関連で困った時のサポート部隊を用意しておくことです。
オンライン授業が求められる状況は今後も続きます。上記のような通信障害に対する備えは、早めに対応しておくと良いでしょう。次回はハイブリッド授業のノウハウについてお話しします。
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