毎週月曜日は「先生のための Weekly 教育ニュース」というシリーズでブログを更新しています。今日は「小中学校の授業時数の1割が裁量可能に」「わいせつ教員の免許再交付には更生した証拠の審査」「教職課程でICT教育科目の履修を義務化」「官房長官が2022年度までに国際バカロレア(IB)認定校を200校」について取り上げています。
小中学校の授業時数の1割が裁量可能に
個別最適化教育に向けて一歩前進ですね。
これまでガチガチだった各教科の授業時数に自由度が出てきました。と言ってもわずか1割程度なので、現場への影響はほとんど無さそうですが。これが5割程度の自由度になれば、各学校ごとに特色を打ち出せるようになると思います。今後の改革に期待したいですね。
文部科学省は、各小中学校の裁量で、教科の授業時間の配分を変えられる新制度を来年度から導入する方針を決めた。算数や社会など教科ごとの最低基準「標準授業時数」を最大1割減らし、別の教科に上乗せできるようにする。授業編成の自由度を高めて、教科の枠を超えた探究的な学習などを推進する。
わいせつ教員の免許再交付には更生した証拠の審査
先月、国会で成立したわいせつ教員からの被害を防止するための「教員による児童生徒性暴力防止法」で、懲戒免職になった教員への免許再交付の可否について、元教員側に更生度合いを証明する「証拠」を挙げてもらう形で審査することがわかった。萩生田文部科学相が読売新聞のインタビューに答えた。再交付の審査についても、「全国都道府県教育委員会連合会」(東京)にその機能を置く意向だ。
「職業選択の自由」の観点から、こうした対応は必要なのでしょう。懸念点としては大臣も指摘されているように「審査会のメンバーが各教委で違う顔ぶれになれば、判断基準も異なってくるおそれがある」ということでしょう。曖昧な審査で「更生されていない」わいせつ教員が現場に戻れないよう、審査基準は厳しめに揃えて欲しいですね。
教職課程でICT教育科目の履修を義務化
文部科学省は、大学や短大の教職課程で学生が小中高校の教員免許を取得する際、ICT(情報通信技術)を活用した教育に関する科目の履修を義務付けることを決めた。小中学校では「GIGAスクール構想」で児童生徒に1人1台の端末配布が進んでおり、教員のICTを活用した指導力の向上が急務となっている。
基本的には賛成ですが、進化の早いICTの分野で適切な教育が教職課程でできるかというと正直難しいでしょう。期待できる成果は「学校におけるICTの重要性を内外に知らしめる」ということでしょうか。
生徒1人1台ICT端末のGIGAスクール構想によって、ICTの位置付けは「教員の教具」から「生徒の文具」に大きく変わってます。そうした「ICTの心構え」を教職課程で伝えていってほしいと期待しています。
官房長官が2022年度までに国際バカロレア(IB)認定校を200校
加藤勝信官房長官は29日の記者会見で、全世界共通の大学入学資格につながる教育プログラム「国際バカロレア(IB)」の認定校を増やす意向を示した。「2022年度までに200校以上という目標達成に向けて引き続き取り組んでいく」と表明した。
IBはスイスのジュネーブに本部を置く国際バカロレア機構が提供する。年齢別の3つのプログラムが柱だ。16~19歳向けのDP(Diploma Programme)を高校などで2年間履修し、試験に合格すると全世界で通用する大学入学資格をとれる。
DPは言語や数学などの6科目に加えて「コア科目」と呼ばれるカリキュラムが特徴だ。ペーパーテストの能力だけでなく普段からの課外活動や課題論文が評価の対象となる。授業は議論も多く、批判的思考を磨く狙いがある。
これはなかなか難しい政策ですね。国際バカロレア(IB)の教育はもちろん素晴らしいのですが、その教育の質を最大限に発揮するために教員はIBカリキュラムのトレーニングを受ける必要があります。しすてIBカリキュラムのトレーニングは時間もかかるし難しいため、国内ではなかな難しいでしょう。
実際、こうした資金と人材の確保が難しかったため、2018年度までだった目標期限を2022年度に延ばしたわけですね。
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