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【本紹介】協同と表現のワークショップ〜学びのための環境のデザイン

今日紹介するのは、ワークショップ学習論についての書籍です。「学習理論」と聞くと難しそうな印象がありますが、非常に多くのワークショップの事例が取り上げられているため、どのようにワークショップを企画したり実施したりすればよいかイメージしやすくなっています。

Amazonの評価では星2.0(評価数1件)と酷評されている本ですが、私にとっては「ワークショップ企画で悩んだときに最初に手に取る本」です。ワークショップ型のアクティブ・ラーニング授業をしたい先生や、探究学習のファシリテーションに悩んでいる先生にお勧めの書籍です。内容が濃いため正直読むのは大変ですが、読めばワークショップについて理解が深まる、そんな一冊です。


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書籍紹介

目次は以下の通りです。

  • はじめに 総合的な学びとしてのワークショップ
  • 第1章 ワークショップとは何ですか? それを支える学習理論とは?
  • 第2章 ワークショップのための学習環境のデザインとは何ですか? ファシリテータについても教えてください
  • 第3章 ワークショップは実際どのようにつくるのですか? コンセプトづくりから運営・まとめまでは?
  • 第4章 ワークショップの記録・評価について教えてください。また、その成果はどのように示されますか?
  • 第5章 映像メディアワークショップとはどのようなものですか?
  • 第6章 日本文化・異文化理解のワークショップとはどのようなものですか? 
  • 第7章 身体・感覚を使ったワークショップとはどのようなものですか?
  • 第8章 特別支援のためのワークショップとはどのようなものですか?

どの章も面白い内容なのですが、私が特によく読み返すのは第2章にある「Q12 ワークショップを企画するときのコンセプトづくりの基本とは何ですか?」の箇所です。

ワークショップの手法や場面が多様なように、ワークショップのデザインにも多様な方法があります。この書籍では、様々なワークショップの事例をもとに「コンセプトづくり」の考え方と方法が紹介されています。この箇所が、自分で企画する際に非常に参考になります。

コンセプトを参加者に言葉で伝えるのではなく経験として伝えるためには、概念を具体的な活動や道具としてデザインしていく必要があります。その際に有用なのが「コンセプト」「モチーフ」「アイテム」が重要になります。

コンセプトは「何を考えるか」、モチーフは「どのように考えるか」、そしてアイテムは「何を使うか」です。コンセプトを明確にして、モチーフとアイテムを決めていけば、ワークショップは形になっていきます。

以上なようなことを言葉で紹介するのは簡単ですが、上記の言葉だけではほとんどの人がピンと来ないと思います。こうした理論を腹落ちさせるには、書籍に紹介されている事例をよく読み、自分の頭で考えてみる必要があります。

「少し読めば効果がすぐに出る」という簡単な本ではありませんが、読みこなせれば格段にワークショップのスキルがアップする本です。興味のある先生は、ぜひ挑戦してみてください。お勧めです。