「難しい制限は創造力を発揮するテコなんだ」というマインドセットを持とう

先ほどYouTubeを見ていたら「勝間和代の、創造力は制限の中から生まれます」という動画がアップされていました。4分弱の短い動画だったので見てみたのですが、本当にその通りだなと思う内容でした。以前に「境界条件と五七五とコロナ」という記事で少し書きましたが、今日はこの「制限と創造性の関係」について、少し考えてみたいと思います。(今日の記事は論考ではなくインスピレーションの雑感になります。)


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創造力と制限

よく想像力と言うと自由に想像してという言葉がセットで言われますが、あまりにも自由すぎると範囲が広すぎてしまって、私たちの想像力がなかなか働きません。

むしろ、最近の外出自粛期間のようにあえて制限をされた状況に追い込まれると、私達はかえって工夫をして想像力が働くようになります。

このYouTubeも1日1本5分前後という制限をつけているからこそ、色々と私もネタが思い浮かびますし、ないときに比べて、質量の充実があるのではないかと考えています。

詳しくは是非、動画をご覧ください。

勝間和代の、創造力は制限の中から生まれます」の紹介文より引用

(創造力と想像力の違いは無視して、創造力に統一して考えていきます。)

一言で制限といっても、いろいろな種類があります。締め切りなどの「時間の制限」、俳句の五七五(ごしちご)などの「フォーマットの制限」、コロナ対策で3密を避けるための「環境の制限」、SDGsなどの「目標の制限」などなど。他にもたくさんあると思います。

創造力をあまり発揮できない制限は何かと考えたときに、「時間の制限」が候補としてあがります。制限が迫っていることから安易に結論を出したり、作品を提出したりしそうなイメージがあったからです。でも、作家である北方謙三氏はインタビューで次のように述べていました。

結局、心の持ちようなんです。私は原稿用紙にペンで書いているんですが、500枚書かなきゃいけないのに、最初のうちは数行しか書けない。これが3桁になる日は来るのかって。でも締め切りが迫って「あと何日しかない」って思った瞬間に、はっと気付くと498枚書いている。あと2枚じゃねーかと(笑)。どうしてそうなるのかは分からないけど、追い詰められると潜在能力が出るんです。

北方謙三氏に聞く、大水滸伝は今の読者に向けた現代小説だ」より引用

一般化して断言はできませんが、どのような制限であっても創造力を発揮させることは出来ると私は思います。制限は言わば「テコ」のようなもので、それを人が上手に使って創造力を発揮できるかの問題なのだと思います。そして、制限を「テコ」のように使うためには、そういうマインドセットでいることが何より大事なのだと思います。

研究における制限

大学院で天文学の研究を始めたとき、研究をする際の制限には本当に苦労しました。私は観測天文学だったので、まず「観測できる天体(距離と明るさの制限)」という制限があります。さらには「観測する光の波長」の制限や「望遠鏡の性能」の制限などが加わるのです。そうした制限から、論文になるような研究テーマを考えていく必要があります。

しかし、研究に慣れてくると、こうした制限があるからこそ研究が進んでいくのだと感じるようになりました。制限があるから工夫もするしアイディアが出てくるのです。(もちろん制限が緩和される(新しい装置が開発される)ことで研究が一気に進むこともありましたが。)

自由研究

制限と創造性の関係を考えたとき、思い出したのが自由研究です。私は自由研究が結構苦手で、毎年苦労していました。自由研究も完全に自由にするのではなく、あえて制限を加えたほうが、生徒たちの創造性が発揮されるかもしれませんね。

より創造性を発揮できる制限

それでは、どのような制限が「より創造性を発揮できる制限」になるのでしょうか。

この問いは、ビジネスの現場ではナンセンスな問いになります。なぜなら、人が制限を自ら選べるシーンはほとんど存在しないからです。仮に制限を選べたとしても、シチュエーションは様々で、それに取り組んでいる人も様々なため、創造性を発揮しやすい制限を見つけることは、変数が多くて至難の技でしょう。

しかし、教育の現場では状況が変わります。シチュエーションも制限もコントロール可能ですし、取り組む生徒たちも均質性があります。教育現場において「より創造性を発揮できる制限」を見つけることは可能ではないでしょうか。これを見つけるヒントは、PBLにおける「良いトリガークエッション」の条件にありそうな予感がしています。質的研究をしてみたら面白いかもしれませんね。

宇宙という制限

こんなことを最近考えていたのは、実はちょっと難しいお題に取り組んでいるからです。

オンラインサロンABLabの仲間たちと一緒に、こちらのJAXAのTHINK SPACE LIFE、宇宙生活での課題を解決するビジネスプラットフォームにアイディアを提案しようと活動をしています。

宇宙空間というのは、まさに制限の塊です!なので創造性あふれるアイディアが次々と浮かぶ・・かと言うと、そうでもないわけでして。創造的に課題解決を考えるのは本当に難しいですね。

だからと言って「難しい難しい」と嘆くのではなく、「難しい制限は創造力を発揮するテコなんだ」というマインドセットで取り組んでいきたいと思います。