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分散登校のリスクとケンブリッジ大学の対応

先ほどFacebookでもシェアしましたが、ケンブリッジ大学が2021年の夏まですべての講義をオンラインで実施することに決定しました。理由は「ソーシャルディスタンスが引き続き必要とされる可能性が高いことを考慮」とあります。ケンブリッジ大学のキャンパスは4月から既に閉鎖されており、授業と試験はオンラインに移行しています。

一方、日本では緊急事態宣言を解除する方向で政府が検討しており、緊急事態宣言解除後は学校が再開される動きがあります。もちろん分散登校、授業時間短縮などの対応はありますが、ソーシャルディスタンスは維持できるのでしょうか。


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Facebookでシェアしたケンブリッジ大学の記事はこちらです。

Cambridge University moves all lectures online until summer 2021

都内に住んでいる私の甥っ子も、来月から小学校が再開すると通知がきました。クラスを2つにわけて分散登校することになります。都内の公立学校で教員をしている友人によると、区からは運動会・展覧会・遠足系は全部中止。当面は分散登校で、多くても1日3時間、週3日まで、という指示があったそうです。

分散登校によってソーシャルディスタンスは保てるのでしょうか。

サポート校の先生がある試算をしてくれました。クラスを2つに分けた場合、教室内でソーシャルディスタンスが何メートル確保できるかの試算です。結果は1メートルでした。多くの方がご存知の通り、コロナ対策ではソーシャルディスタンスは2メートルが推奨されています。教室でソーシャルディスタンス2メートルを確保するには、クラスを2分割では足りないのです。

とはいえ1メートルは離れていますので、マスクを着用して手洗いを徹底させ一言も喋らなければ、授業中の感染リクスは抑えられるかもしれません。でも休み時間はどうでしょうか。お昼時間はどうでしょうか。もちろん学校は子供同士の接触を抑えるように指導するでしょうが、現実問題難しいのではないでしょうか。

登下校の問題もあります。通学に公共交通機関を使わなければならない生徒は、満員電車に乗る必要があるかもしれません。もちろん「登校の時間をずらす」などの工夫は各学校で行うでしょうが、いずれにしてもリスクがあるのは間違いありません。

だからと言って、ケンブリッジ大学のように「全部をオンライン授業で行おう」とするのは難しいことも分かります。オンライン授業に全く取り組めていない学校は多いですし、ご家庭の負担の問題もあります。分散登校せざるを得ない学校があるのも仕方ないと思います。

しかし、オンライン授業に少なからず取り組めている学校までもが、来月からの分散登校を検討している実情があります。もちろん検討段階ですので確定した話ではありませんが、多くの学校では「分散登校ありき」の検討がなされているように感じています。(これが私の勘違いなら、それに越したことはありません。)

今日も午前中、サポート校の先生とこの件で打ち合わせをしました。私は「分散登校をすることになっても、オンライン授業の取り組みは絶対に止めないでください。もしコロナの第二波が来たら、日本のどこかの学校で子供の集団感染が起きたら、日本全国でまた一斉休校に戻ります。それに備えておいてください。分散登校をするにしても、オンライン授業との併用をお勧めします。ご家庭でオンライン授業を受けることが難しい生徒に絞って分散登校を行えば、学校内のソーシャルディスタンスも保ちやすくなります。」と提案しました。

非常にセンシティブな問題で、賛否両論あると思います。学校やご家庭の置かれている状況もそれぞれで大きく異なりますので、一概に「こうすべきだ」とは言えません。ブログで発信するかも悩んだのですが、ひとりの教育関係者の意見として書かせてもらいました。分散登校について悩んでいる先生方の参考になれば幸いです。