前回の続きです。文化学園大学杉並中学・高等学校のダブルディプロマコースでは、日本とカナダの両方の高校卒業資格を得ることができるとお話しました。実はここにきて、大阪学芸高等学校、麹町学園女子、神田女学園、国本女子の学校もダブルディプロマコースを作り始めたのです。今、ダブルディプロマに注目が集まってきています。
ダイバーシティは1日にして成らず
ダブルディプロマ(以下、DD)コースを日本で最初に作った学校は、文化学園大学杉並中学・高等学校(以下、文杉)で、2015年度のことです。DDコースの2校目が誕生したのは、文杉の4年後(2019年度)で大阪学芸高等学校です。そして2020年度4月には、麹町学園女子、神田女学園、国本女子の3校でDDコースが始まります。(提携先は学校によって異なり、大阪学芸は文杉と同じカナダ・BC州、麹町学園女子はアイルランドとニュージーランド、神田女学園はアイルランド、そして国本女子はカナダ・アルバータ州です。)
DDコースの学校が増えることは、保護者と子供の選択肢が増えることに繋がりますので、大歓迎ですね。DDコースでは、教育の質を提携先が厳しくチェックしますので、初年度からでも世界水準の授業が展開されることでしょう。
しかしながら、「学校の文化」については、一朝一夕にはいかないと私は思っています。学校が「多様性を受け入れることが当たり前の文化」に変わっていくには、それなりの時間が必要でしょう。その点においては、2015年度からDDコースに取り組んでいる文杉に一日の長があるでしょう。
文杉の一般クラスの変化
私は2017年度から文杉の授業を視察させてもらっています。最初に授業を見たときは、オールイングリッシュで展開されるDDコースの授業に圧倒されました。授業はもちろんPBL(プロジェクト型学習)で、生徒には一人一台パソコンがあります。生徒は先生やクラスメイトと英語でディスカッションをしたり、冗談を言い合ったりしているのです。
先日、文杉の授業をまた視察させてもらいました。DDコースの授業は相変わらず素晴らしかったのですが、私の目を引いたのは一般クラスの方でした。授業はPBLやアクティブ・ラーニングが中心になっており、生徒は自分のパソコンをいつでも自由に使うことができます。そして何よりも、「校内でforeigner(外国人)を作らない」という文杉の文化が、一般クラスにも浸透していたことに驚きました。
これは、文杉の一般クラスとDDコースの間に垣根がないから起こった変化でしょう。よく進学校の選抜クラスと一般クラスの間には垣根が出来てしまいますが、文杉はそうならなかったわけです。文杉では、一般クラスも含めた学校全体が「多様性を受け入れることが当たり前の文化」になっています。まさに学校運営の賜物でしょう。
松谷校長によると、文杉は共学化に伴って校則の大幅な見直しを実施したそうです。また、来年度からは中間テストを廃止し、ルーブリックによる評価を本格的に進めていくそうです。脱工業化を目指して、文杉が進化していくのを感じます。新時代の学校として、今後も文杉に注目していきたいと思います。
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