ここ数週間、ほぼ連日でオンラインの打ち合わせやイベントに参加していました。以前からオンラインの打ち合わせは実施していたので、特に戸惑うことなくオンラインに順応できたと思います。ただ、ここまで高頻度・高密度にオンラインで人と話したことはなかったので、自分の中で色々な発見がありました。そこで今日は、オンラインでのコミュニケーションについて考えてみたいと思います。
オンラインのコミュニケーションの中で一番違和感がないのは、既に何回かリアルで会って話したことがある人との会話だと思います。その人がどういう人柄で、どういうバックグラウンドを持っているか把握していることは大きいです。私個人の感覚では、リアルとほぼ同じクオリティのコミュニケーションがオンラインでも出来ていると思います。
当たり前の話ですが、オンラインのコミュニケーションで難しいのは、完全に初対面の人です。(何せリアルでも難しいのだから!)そこで、一体何がコミュニケーションを難しくしているのか考えてみると、その人が「どう感じているか」「どう思っているか」が読み取れなくて、コミュニケーションに不安を感じていました。
リアルでのコミュニケーションでは、目の前の様々な情報を受け取って無意識にそれを処理しています。表情や声のトーンはもちろん、その人の癖だとか体の大きさだとか素振りだとかですね。そのような情報を脳が無意識に処理して出されたアウトプットが、その人の雰囲気や空気感、温度感なのかなと思っています。
でも、オンラインでは相手から得られる情報が極端に少なくなります。「人の存在感(プレゼンス)」がリアルに比べてオンラインは弱いのです。たかだか数千万ピクセル、数百万ピクセルの解像度では、その場の空気を読むことさえできないのでしょう。オンライン上のコミュニケーションをサポートするデバイスのスペックが圧倒的に不足しているのが現状です。(VR・ARよりも先にこちらのテクノロジーの方が大事ではないかと、最近は考えを改めています。)
ここで発想を逆転させて、「どうしたらオンラインでも自分の存在感を大きくできるか」について考えてみました。相手に「自分がどう感じているか」「どう思っているか」という情報を適切に伝えられれば、オンラインでもコミュニケーションが取りやすくなるでしょう。最近、私が意識しているのは次の3つです。
- 顔の表情筋をいつもより大きく動かす
- 自分が話すときは、身振り手振りを入れる
- 相手が話すときは、頻繁に相槌を入れる
まず、自分の表情には気をつけるようにしています。普通にしていると、オンラインでは無愛想に見られてしまうので、基本は笑顔。そして自分が喋る場面では、おおげさなぐらいに身振り手振りをいれています。普段の2倍ぐらいオーバーリアクションを心がけるのが良さそうですね。英語を喋るときの感覚に近いかもしれません。
そして大事なのが3番目の相槌です。これは話す立場になると実感するのですが、オンラインでは「ちゃんと相手に伝わっているかな?」という不安が大きいのです。「ちゃんと伝わっていますよ、聞いていますよ」というジェスチャーをすることで、話し手は安心して話題に集中することができます。オンラインのコミュニケーションでは「聞く技術」がとても大事だなと実感しています。
最近では上記のことを意識してオンラインに参加しているのですが、以前よりもコミュニケーションがよくなった気がしています。オンライン授業をする先生やテレワークで会議をする人は、ぜひ参考にしてみてください。
ただし、上記を意識してオンラインに参加すると凄く疲れます。1日に三本も打ち合わせがあると、結構ぐったりです。ビデオ越しに相手のプレゼンスを懸命に感じ取り、ビデオの前では自分のプレゼンスを懸命に増幅する感じ。もしかしたら私たちは、ビデオ越しの「新しい身体性」を獲得している最中なのかもしれませんね。