先週は2月13日に高校教育改革のグランドデザインが正式公表され、同日に情報・技術WG・算数・数学WGも開催。次期学習指導要領に向けた議論が一気に動いた週でした。
❶ 高校教育改革「グランドデザイン」正式公表──都道府県の実行計画策定へ
2月13日、文部科学省は「高校教育改革に関する基本方針(グランドデザイン)~2040年に向けた『N-E.X.T(ネクスト)ハイスクール構想』~」を正式に公表しました。昨年11月の骨子案を経て全容がまとまった形です。高校授業料無償化に伴う公立高校の特色化が急務となる中、①不確実な時代を自立して生きていく主権者としてAIに代替されない能力や個性の伸長、②我が国や地域の経済社会の発展を支える人材育成、③一人一人の多様な学習ニーズに対応した教育機会の確保──の3つの視点と、文理割合を同程度にする等の数値目標が示されました。約3,000億円基金によるパイロット公募も同日開始。
注目は「各都道府県において実行計画を策定いただく」と明記された点。各自治体が計画に落とし込むプロセスの起点となります。この方針に欠けている視点についてはブログで詳しく論じています。
→ 科学カフェ「AIに代替されない能力を育てる」(2月14日付)
【情報源】
❷ 各教科WGが一斉稼働──2027年度改訂に向け全教科が本格議論入り
今週は教育課程部会の各教科ワーキンググループ(WG)が立て続けに動きました。理科WG(第5回)の配付資料が公開されたほか、2月13日には情報・技術WG(第6回)と算数・数学WG(第6回)が同日開催。さらに外国語WG(第9回)、体育・保健体育・健康・安全WG(第7回)、産業教育WG(第5回)、特別活動WG(第4回)の開催案内も出されています。
外国語WGは第9回、体育・保健体育・健康・安全WGは第7回と、すでに相当の議論を重ねています。2027年度の学習指導要領改訂(告示)に向け、全教科が本格的な議論に入った段階です。総則・評価特別部会(第6回)も並行して動いている点を押さえておきたいところです。
【情報源】
- 文科省 新着情報一覧(2026/2/9-13分)
- 各WG開催状況は文科省の教育課程部会各ワーキンググループページを参照
❸ 算数・数学WG──高校数学の科目構成見直し、行列・確率等の基礎を必履修に組み込む案が検討中
2月13日の算数・数学WG(第6回)では、昨年12月から続く高校数学の科目構成見直しが議論されました。現行の数学A・B・Cの区分を見直し、必履修科目「数学Ⅰ」に「社会を読み解く数学(仮称)」という新領域を設け、行列や確率等の基礎的な要素を組み込む案が検討されています。
現行課程では行列は数学Cの「数学的な表現の工夫」に含まれますが、数学C自体の履修率が文科省の推計で約34%にとどまります。行列を実際に学ぶ生徒はさらに限られ、約3分の2の高校生が触れないまま卒業している計算です。AI・データサイエンスの理解に不可欠な内容を全員が学ぶ仕組みへの転換が議論されている形です。なぜ行列がAI時代に必要なのかについては、別途ブログ記事で詳しく取り上げる予定です。
【情報源】
❹ 情報・技術WG(第6回)──AI教育の枠組みを3要素に整理
2月13日の情報・技術WG(第6回)では、次期学習指導要領におけるAI教育の枠組みが一つの資料に体系的に整理されました。AI教育を「AI自体を学ぶ」と「AIを活用して学ぶ」の二軸で捉え、「①活用」「②適切な取扱い」「③特性の理解」の3要素に体系化。小中高それぞれの教科構成の方向性も具体的に示されています。
私が関わる研修現場でも「まず触ってみる」と「仕組みやリスクを理解する」の両立が常に課題です。この3要素は研修設計の共通言語になりうると感じます。AI教育に関わる先生方にはぜひ配付資料に目を通していただきたい回です。
【情報源】
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福原将之の科学カフェ AI時代の教育を、現場から考える