東京大学社会科学研究所とベネッセ教育総合研究所が共同で実施した「子どもの ICT 利用に関する調査 2023」の結果が公表されました。この調査は、2023年2月から3月にかけて実施され、小学4年生から高校3年生までの約9,000人の生徒を対象に、学校と家庭でのICTの利用状況と意識を詳細に探りました。特に注目すべきは、約3割の生徒が学校で「ほぼ毎日」ICT機器を使用しているという結果や、多くの生徒がICT機器を活用した授業を「楽しい」と評価している点です。他にも興味深い結果が出ていますので、ICT教育の推進に取り組んでいる先生方はぜひチェックしてみてください。
子どもの ICT 利用に関する調査 2023
東京大学社会科学研究所とベネッセ教育総合研究所による共同研究プロジェクト「子どもの ICT 利用に関する調査 2023」は、こちらからダウンロードできます。
https://berd.benesse.jp/up_images/research/ICT_tyousa_2023_231025_2_compressed1.pdf
●調査項目
1.学校でのICT 機器利用
利用するICT 機器の種類/利用頻度・時間・教科/ ICT 機器を使った子どもの活動と教員の指導/ICT 機器の利用に対する意識/宿題での利用/持ち帰りと家庭での利用/学校での利用への意見や評価など2.家庭でのICT 機器利用
利用するICT 機器の種類/利用頻度・時間/インターネットの利用率・用途・人との交流/SNS の利用状況/読書/ ICT 機器を使った家庭学習の内容・頻度・評価など
主な調査結果は以下のとおりです。(プレスリリース資料より引用)
1.利用頻度:約 3 割が「週 5 日(ほぼ毎日)」使用と回答
◆学校で ICT 機器を使う頻度については、約 3 割が「週 5 日(ほぼ毎日)」、約 2 割が「週 3~4 日」と回答している。小 4~6 生の利用頻度が高く、高校生の利用頻度が低い。2.利用意識:約 8 割が「ICT 機器を使う授業は楽しい」と回答
◆約 8 割が「ICT 機器を使う授業は楽しい」、約 6 割が「ICT 機器を使う授業を増やしてほしい」と回答(とてもそう+まあそう)。その割合には、子どもの成績による差がない一方で、利用頻度による差がみられる。3.利用方法:「調べ学習」が 9 割弱、「考えをまとめて発表」「考えを共有」などの協働学習は 6 割超 ◆利用方法で多いのは「調べ学習」(87.1%)。「考えをまとめて発表」「友だちと考えを共有」などの協働学習も 6 割を超える。「練習問題を解く」は小学生に多く、「暗記する」は高校生に多いなど、学校段階による使い方の違いもみられる。
4.効果実感:「調べやすい」「わかりやすい」「効率的」などは 7 割超が実感 ◆「学習内容について調べやすい」「学習内容がわかりやすい」「効率的に学習できる」「グループでの学習がしやすい」は 7 割超が実感。利用頻度が高い子どもほど、ICT 機器を使う効果を感じている。
5.課題実感:目の疲れ、インターネット接続、機器を壊す不安などが半数を超える ◆半数以上が「目が疲れる」「インターネットにつながらなくて困ることがある」「ICT 機器を壊してしまわないか不安」と回答。「使い方がわからないことがある」「文字の入力が面倒」は、利用頻度が低い子どもほど感じている。
6.教員関与:教員から ICT 利用に関する指導を受けている子どもほど ICT 機器利用の効果実感が強い ◆「ICT 機器の使い方」「情報の集め方・調べ方」「ルールやマナー」といった指導を受けている子どもは、効果実感を強く感じる傾向がある。
【参考データ】経年変化:2020 年から 21 年にかけて授業での ICT 機器の利用が急増 ◆授業中の取り組みで「パソコンやタブレットを使う」比率は、2020 年 56.9%から 21 年は 81.4%に急増。22 年も86.4%とさらに増加。