最近、校長先生の公募をよく見かけるようになりました。教員免許を持たない社会人層にも間口を広げることは素晴らしいと思う一方で、忘れてしまっていはいけない重要なポイントがあります。それは、「学校経営は企業経営よりも難しい」ということです。
非営利団体の経営は難しい
「経営の神様」と称されるピーター・ドラッカーが言うように、学校などの非営利団体の経営は、民間企業の経営よりも遥かに難しいです。その理由は、利害関係者(ステークホルダー)の多様性にあります。
民間企業における利害関係者の構造は、実はシンプルです。具体的には株主に従業員、それに顧客。最近のSDGsを絡めて地域社会や地球環境を含めても、構造はそれほど複雑にはなりません。民間企業であれば「会社の利益をあげる」という点で概ね一致団結できるからです。
一方、学校などの非営利団体における利害関係者の構造は複雑です。公立学校だと教育委員会、私立学校だと理事会はもちろんのこと、教員・保護者・子供たち・地域社会も全て利害関係者になるからです。しかも、教員・保護者・子供たちの利害は一人一人異なることがほとんどです。さらに公立学校では、従業員である教員の解雇や昇給も自由にできないわけですから、校長先生に求められる経営・マネージメントの手腕は相当なものになります。
誤解を恐れずに言うのであれば、学校経営に携わるのであればMBA(経営学修士)レベルの勉強は必要になるでしょう。それぐらい、非営利団体の経営は難しいのです。校長候補として民間出身者から優秀な人材を集めることは良いですが、民間出身者・企業経営者だからといって学校経営が必ずしも優秀なわけでない点に注意が必要です。(そうでないと双方が不幸になりますから。。)
非営利団体の経営の難しさについては、ぜひピーター・ドラッカーの名著をご一読ください。将来、学校長を目指している方はもちろんのこと、管理職の先生や学級経営に関わっている先生にもお勧めの一冊です。