宇宙飛行士関連の書籍紹介、4冊目になります。1冊目は「ドキュメント 宇宙飛行士選抜試験」、2冊目は「宇宙飛行士の採用基準〜例えばリーダーシップは「測れる」のか」、3冊目は「宇宙飛行士選抜試験〜ファイナリストの消えない記憶」でした。
今日紹介する本は、タイトルの通り「宇宙飛行士の仕事」についての書籍です。著者の柳川考二さんは、JAXA宇宙飛行士室長などを歴任し、宇宙飛行士たちの素顔と奮闘を間近に見てこられた実務家です。「宇宙飛行士って具体的にどんな仕事をしているのかな?」という疑問に答えてくれる稀有な一冊です。
書籍紹介
目次は以下の通りです。
- 第1章 宇宙飛行士の歩み
- 第2章 宇宙での活動
- 第3章 選抜試験と求められる資質
- 第4章 地上での訓練
- 第5章 これからの宇宙飛行士
- 特別インタビュー 職業としての宇宙飛行士
この本の特徴として、単に宇宙飛行士の仕事を紹介しているだけでなく、その背景を丁寧に教えてくれます。例えば「第1章 宇宙飛行士の歩み」では、フォン・ブラウンやコロリョフの時代からの宇宙開発の歴史を分かりやすく教えてくれます。特にアメリカ・ソ連の対立からの月面着陸までの説明は秀逸で、個人的に理解が深まりました。
「第2章 宇宙での活動」では、宇宙飛行士の花形となる「宇宙での仕事」について紹介されています。国際宇宙ステーションISSでの宇宙飛行士の活動や生活、さらには宇宙飛行士をサポートしている地上支援の仕事やISSに日本人宇宙飛行士を搭乗させるための国際交渉について教えてくれます。
「第3章 選抜試験と求められる資質」では、宇宙飛行士選抜試験について紹介されています。「ドキュメント 宇宙飛行士選抜試験」の内容とは違った角度から選抜試験について書かれているため、両方読んでいると比較ができて面白かったですね。NASAやロシアでの宇宙飛行士選抜についても触れられているのもポイントが高いです。
「第4章 地上での訓練」では、普段ほとんど目にすることのない「宇宙飛行士の地上での訓練と仕事」について紹介されています。第4章がこの本のハイライトだと個人的に思います。宇宙飛行士選抜試験に合格した宇宙飛行士”候補生”が、どのような訓練を経てJAXA宇宙飛行士認定されるのかが分かります。この凄まじい訓練内容を知ると、改めて宇宙飛行士の方々に尊敬します。
最後の「第5章 これからの宇宙飛行士」では、宇宙旅行が当たり前になっていく時代での「職業としての宇宙飛行士」について、著者の考えが書かれています。宇宙飛行士の覚悟、国の覚悟など、色々と考えさせられます。
この本は「宇宙飛行士って具体的にどんな仕事をしているのかな?」という疑問に答えてくれる稀有な一冊ですので、宇宙飛行士に興味のある方はぜひ手に取って読んでみてください。