昨日、教員のICT運営チームに関する記事を書きましたが、今日はその人選について話したいと思います。ICT運営チームの人選のポイントは3つあります。一つ目のポイントは「ICT活用に対して前向きに取り組める人」です。これは当然ですよね。
二つ目のポイントは、「チームの先生の学年・教科がバラバラになること」です。これは現場レベルの課題を迅速に把握し、その対処を施す上で大事になります。それぞれの学年や教科で特有の事情がありますので、その情報をICT運営会議でキャッチできる体制を築くことが大切です。
最後の三つ目のポイントが、実は一番大切です。それは「ICTに関してイノベーターの先生ではなく、アーリーアダプターの先生を集めること」です。意外かもしれませんが、先駆的にICT活用をされている先生だけで運営チームを作ってもうまくいかないのです。
イノベーター理論をICT活用に当てはめよう
マーケティング業界には「イノベーター理論」という考え方があります。イノベーター理論では、消費者を「イノベーター」「アーリーアダプター」「アーリーマジョリティ」「レイトマジョリティ」「ラガード」の5つに分類して考えます。
「イノベーター(2.5%)」は、商品を最も早く購入するユーザーです。新し物好きで新商品には真っ先に飛びつく人たちです。ICT活用の例では、先駆的にICT活用をされている先生方です。
「アーリーアダプター(13.5%)」は、イノベーターほど積極的ではないですが、流行には敏感なユーザーです。発信力があって市場への影響力が大きい層です。ICT活用の例では、ICTに興味があって人望があり、職員室での影響力が大きい先生方です。
「アーリーマジョリティ(34%)」は、新商品の購入には慎重だが、アーリーアダプターの影響を受けて比較的早く購入にいたるユーザーです。ICT活用の例では、自分でICT活用方法を調べることはないが、職員室の空気を読んでICT活用には取り組んでもらえる先生方です。
「レイトマジョリティ(34%)」は、新商品に対してはかなり懐疑的で、自分の周囲の大半が使っているのをみてから購入するユーザーです。ICT活用の例では、職員室の大半の先生がICT活用に取り組んでいるのを見てからでないと動かない先生方です。
そして「ラガード(16%)」は、ユーザーの中で最も保守的な人たちで、ほとんど最後まで購入にいたらないような層です。ICT活用の例では、最後までICT活用に反対する先生方です。
ICT運営チームは影響力が大事
さて、教師集団を「イノベーター」「アーリーアダプター」「アーリーマジョリティ」「レイトマジョリティ」「ラガード」の5つに分類したとき、どのタイプの先生をICT運営チームに選べばよいでしょうか。
学校がやってしまいがちな失敗は、先駆的にICT活用をされている「イノベーターの先生」だけでICT運営チームを結成してしまうことです。これではチームがうまく機能しません。
なぜなら、イノベーターの先生が「ICT運営」に関して影響を与えられるのは、同じイノベーターの先生かアーリーアダプターの先生だけだからです。その割合は、教師集団の16%程度です。
ICT運営チームでは「中長期的な方針」や「現場のトラブル対応」を扱っていきます。チームとして教師集団への影響力を発揮することがとても大切です。
したがって、教師集団への影響力が大きいアーリーアダプターのタイプの先生を主軸にICT運営チームを結成することをお勧めします。
もちろんアーリーアダプターの先生だけでは「ICTの課題解決」で困ることがありですので、2〜3人ほどイノベーターの先生も加えるとチームのバランスがよくなります。
教員のICT運営チームを作るときは、ぜひ参考にしてみてください。
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