昨日ツイッターをみていたら、ある保護者の呟きがRTで回ってきました。小学生のお子さんが「子どもの人権SOSミニレター」に「密な学校がこわいです。オンライン授業にして下さい」と送り、その返事が「今は、あきらめて、学校でがんばってみてはどうかな」だったのです。あまりにも酷い内容だったので私もFacebookでシェアしたのですが、それでは一体どのような回答だったら良かったのでしょうか。教育法規の観点から、子供と保護者の権利について考えてみたいと思います。
教育法規に基づく回答
実はちょうど先日発売されたばかりの本に、今回の件にぴったりの回答が掲載されていましたので紹介したいと思います。
文部科学省の「新型コロナウイルス感染症に対応した小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校等における教育活動の再開等に関するQ&A(令和 2 年 4 月 23日時点)」の問6「感染経路の分からない患者が増えている地域にあり、保護者から学校を休ませたいと相談されたが、どうしたらよいか」をお読みください。それによれば、感染の可能性が高まっていると保護者が考えるに合理的な理由があると校長が判断する場合には、欠席とはしない場合もありうると書いてあります。そして、合理的理由の基準は書いていません。
つまり、保護者が「不安だ」と訴え、「もし我が子が感染した場合、あなたが責任を取るのか?」と言えば学校に登校しなくてもよくなります。そして、その子に対しても教育を保証しなければならないのです。
第1章の「子どもを登校させるのが不安な保護者」より引用
上記で引用されている「新型コロナウイルス感染症に対応した小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校等における教育活動の再開等に関するQ&A(令和 2 年 4 月 23日時点)」の文書は、こちらから読むことができます。
このように、教育法規や文部科学省の通達を知っていれば、「密な学校がこわいです。オンライン授業にして下さい」という子供に対して「あきらめて」とはならないのです。「学校に通わない」という選択をする権利は、ちゃんと認められているのです。
そして教育基本法の教育機会均等や、平成 30 年 9 月の「『遠隔教育の推進に向けた施策方針』の策定について」などを読むと、「学校に通わない」選択をした子に対しても、学校側が教育を保証する義務があることが分かります。(このことについても『子どもが「学び合う」オンライン授業』に詳しく説明されています。)
ですので、お子さんを学校に通わせたくない保護者の方は、上記の本を読んで学校の先生・校長に相談することをお勧めします。
ただし、そうはいっても現実は「学校が取り合ってくれない」「オンライン授業の対応をしてくれない」というケースもあるでしょう。そのような場合は、お子さんの命と学習の権利を守るために、私立学校への転校やフリースクール、広域通信制学校、ホームスクールといった選択肢を検討するしかないでしょう。実際、多くの保護者が公教育を捨てて、新しい選択肢を選び始めているのです。