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受験生と先生のための「大学入学者選抜実施要項」のポイント解説

6月19日(金)、文部科学省から「大学入学者選抜実施要項」が発表されました。こちらの文書には、今年度に実施する大学入学者選抜における入試方法や試験期日等について書かれています。特に今回は、新型コロナウイルス感染症対策に伴う入試日程や配慮事項、入試実施のガイドラインが記載されています。受験生と先生は要項に目を通しておきたいところですが、全部で35ページもあるため大変です。そこで今回は、「大学入学者選抜実施要項」のポイントを整理してまとめてみました。時間がなくて全文が読めない方は、ぜひ参考にしてください。


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一次情報について

【文部科学省ホームページ】令和3年度からの大学入試

令和3年度大学入学者選抜実施要項(PDF:1,165KB)

「大学入学者選抜実施要項(以下、要項)」は全部で35ページもありますが、特に大事な箇所は11ページ〜13ページに記載されている「第14 新型コロナウイルス感染症対策に伴う試験期日及び試験実施上の配慮等」と、最後に別添されている「新型コロナウイルス感染症に対応した試験実施のガイドライン」です。

「時間がないけれど原文をチェックしたい」という方は、最初に上記の箇所を読むと良いと思います。

入試日程のポイント

まずは大学入学共通テスト(旧センター試験)の日程について。

(1) 大学入学共通テスト

① 入学志願者が新型コロナウイルス感染症の影響に伴う学業の遅れ(以下この項において「学業の遅れ」という。)や同感感染症に罹患した場合等にも対応できる選択肢を確保するため、下記②のとおり、日程を設定することとする。(ii)については、学業の遅れを理由に当該日程を選択する者を対象とするとともに、(i)を疾病等の理由で受験できなかった者の追試験として実施することとし、全都道府県に試験場を設置する。

 上記の措置に加えて、学業の遅れを理由に(ii)を選択した入学志願者が疾病等を理由に受験できなかった場合に備え、別途、特例追試験を実施する。

② その上で試験期日等は以下のとおりとする(第4 再掲)。

(i) 令和3年 1月16日、17日

(ii) 令和3年 1月30日、31日 ※(i)の追試験としても実施。

(iii) 特例追試験 令和3年 2月13日、14日 ※(ii)の追試験として実施。

整理すると、休校で学習が遅れた「現役生」は「第1日程(1/16, 1/17)」と「第2日程(1/30, 1/31)」を選ぶことができます。この第2日程の試験会場は、全都道府県に設置されます。一方、既に学校を卒業している浪人生は、基本的に「第1日程(1/16, 1/17)」になります。

「第1日程(1/16, 1/17)」を受験予定だった現役生・浪人生は、もし病気や交通機関のトラブルで受験できなかった場合、「第2日程(1/30, 1/31)」を追試として受験できます。同様に、「第2日程(1/30, 1/31)」の追試日として「第3日程(2/13, 2/14)」が用意されている、というわけです。

次に個別試験の日程について。文部科学省から大学へ次のような要請が出されています。

(2) 個別学力検査

① 新型コロナウイルス感染症に罹患した入学志願者の受験機会を確保するため、各大学は次のいずれか一つの方策を必ず講ずることとする。文部科学省は、各大学の講じた措置を同省のホームページにおいて周知する。

(ア) 追試験の設定

(イ) 追加の受験料を徴収せずに、別日程への受験の振替

試験日程については、要項には「2月1日から3月25日までの間」と書かれています。日程は例年通りで、私立大は2月1日以降、国公立大前期は2月25以降、国公立大後期は3月12日以降となります。(ただし、大学側が受験生に配慮して、例年よりも試験日程を後ろにずらす可能性はあると思います。)

出題範囲のポイント

気になる出題範囲についてですが、要項では次のように書かれています。

例えば、高等学校第3学年でも履修することの多い地理歴史、公民、理科の2科目指定を1科目に減じることや、指定科目以外の科目への変更を認めるなどの配慮を行うよう努めるものとする。

また、各大学の個別学力検査の出題範囲等に関し、高等学校第3学年でも履修することの多い科目(数学Ⅲ、物理、化学、生物、地学、世界史B、日本史B、地理B、倫理、政治・経済など)の個別学力検査において、入学志願者が解答する問題を選択できる出題方法とするなどの配慮を行うことや、教科書において「発展的な学習内容」として記載されている内容から出題しない、あるいは出題する場合においても、設問中に補足事項等を記載するなど、特定の入学志願者が不利にならない設問とすることなどの工夫を行うものとする。

ただし、上記は文部科学省が「配慮の方法」として大学側に例示したに過ぎません。各大学がどのように出題範囲を定めるかは、大学の公式発表をチェックする必要があります。

大学が「入学者選抜に関する基本的事項」を公表する期日は7月31日となっています。受験生と先生は、しっかりと各大学の動きに注目しておきましょう。

試験実施ガイドラインのポイント

最後に、「新型コロナウイルス感染症に対応した試験実施のガイドライン」のポイントをいくつか紹介して終わりたいと思います。

  • 発熱・咳等の症状のある受験生は、試験当日の検温で、37.5度以上の熱がある場合は受験を取り止め、追試験等の受験を検討すること
  • 可能な限り受験生の人数を通常の講義、会議等での使用時における収容定員の半分程度以内とすること
  • 座席の配置は、なるべく1メートル程度の間隔を確保すること
  • 試験場内におけるマスクの着用を義務付けることとし、未所持者にはマスクの提供を行うこと
  • 試験場入口や試験室ごとに速乾性アルコール製剤を配置すること
  • 発熱・咳等の体調不良者のための別室を設けること
  • 別室においては、基本的に概ね2メートル以上の感覚での座席配置を行うこと
  • 座席利用者が異なるような場合には、当日の試験終了ごとに拭き取りによる消毒を行うこと(72時間以上使用しない場合には、吐しゃ物などの汚物がない限り、特に消毒は必要ない)
  • 面接試験については、受験生同士及び評価者との距離は2メートル以上を確保し、常時ドアを開放しておくこと
  • トイレ入口に導線を示すとともに、入口において、混雑を避けた利用、利用後の手洗いなどを促す案内紙を掲示すること
  • ハンドドライヤーのあるトイレはその利用を停止し、トイレ内については換気に注意を払うこと

上記の内容は中学受験・高校受験を実施する際にも参考になりますので、中学校・高校の先生はぜひチェックしてみてください。


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